mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2011/08

S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2011年08月07日

J2第3節 横浜FC×水戸@ニッパ球

mas o menos
  • Line

nippa2-1.jpg4勝5分け9敗の18位。岸野靖之監督体制も2年目を迎え、J1昇格を明確な目標に据えた横浜FCが苦しんでいます。中でも、八角剛史、飯尾和也、寺田紳一など主力の負傷離脱が成績に大きな影響を与えているのは間違いないところ。「本人には失礼かもしれないけど、選手がいなかった」(岸野監督)状況に、2種登録されたばかりのユースに所属している小野瀬康介がベンチに入りました。
一方、6勝4分け8敗で14位に付けているのは水戸。3連敗で迎えた前節の愛媛戦で吉原宏太が9ヵ月ぶりに復帰を果たすと、前線でコンビを組んだ鈴木隆行のJリーグ復帰弾などで快勝。勢いを今後に続けていくためにも、結果を出したい一戦です。会場は松田直樹選手にとって数々の思い出が詰まっている三ツ沢。サッカーファミリーによる黙祷が捧げられ、ゲームはキックオフされました。
10分、小澤司の柔らかい浮き球に抜け出した吉原の右足アウトループはクロスバーを越えましたが、開始から20分までに、流れの中から生まれたシュートシーンはこの水戸の1回のみ。お互いになかなかリズムを取り切れません。ただ、CKを数回獲得するなど、ピッチの中で最も活性化していたのは「左からいいクロスが上がっていた」と高地系治も触れた横浜の左サイド。「高い位置で何回も突破できる」(岸野監督)SHの野崎陽介と、SBの宮崎智彦は連携もよく、シュートには繋がらないものの、その一歩手前までは演出します。また、27分には右サイドからチャンス。カイオ、高地と綺麗に回ったボールを、今日は右SBに入った荒堀謙次がダイレクトで折り返し、GKに直接渡ったものの、いい形を創ります。
ところが、先に決定機を掴んだのは水戸。28分、小澤が右へ展開すると、西岡謙太のショートクロスは鈴木の足元へ。マーカーを背負った30番は、巧みなスクリーンから鋭い動きで反転成功。続けて放ったシュートはゴールの枠に阻まれましたが、さすがのプレーを披露します。さらに31分、小澤を起点に吉原、小池と繋ぎ、またも西岡のクロスは、ニアへフリーで走り込んだ小澤にピタリと合いましたが、ヘディングは枠の左へ。先制とは行かなかったものの、続けて横浜ゴールを脅かせてみせました。
水戸の攻撃におけるキーマンは、この2シーンでいずれも起点となった小澤。左に位置しながら、高い技術で受けて捌き、31分のように機を見てゴール前まで飛び込むイメージも。横浜も彼を掴むのには苦労していた印象です。流れは横浜。決定機の多さは水戸。スコア動かず、0-0で前半の45分間は終了しました。
迎えた後半は、50分という早い時間帯に水戸のGK本間幸司が遅延行為を取られ、吉田哲朗主審にイエローカードを提示されるシーンを経て、横浜へビッグチャンス到来。54分、右サイドで高地からリターンを受けたカイオがエリア外から左足を強振すると、ボールはクロスバーにハードヒット。直後、今度は左サイドでカイオのパスを受けた高地は、DFとボールの間へ体をねじ込み、マイボールにすると至近距離からフィニッシュを取ったものの、シュートは右足。力なくゴール右へ外れ、スタンドからは溜め息が漏れてしまいます。
とはいえ、後半はこの連続決定機でリズムに乗った横浜が断然攻勢。加えて、「ボリ(荒堀)は後半に入って中への絞りが弱くなり、クロスに絞り切れなくて何回か危ないシーンがあった」と岸野監督は、荒堀を右SHへ移し、右SHだった佐藤がボランチヘ、ボランチだった藤田優人が右SBへ、それぞれスライド。後半は開始から1本しかシュートを打たれていない状況でも、守備面の修正を図りつつ、バランスを整えます。
すると70分には宮崎の左クロスに、ニアへ飛び込んだのは荒堀。ヘディングは当たりが薄く、枠は捉え切れませんでしたが、攻撃での積極性を発揮。73分には藤田祥史を難波宏明へ替えて、岸野監督も勝負に出ます。しかし、劣勢の状況下でも「ボールは持たれても、ある程度は回させてることなんで問題ない」と小澤が話した水戸もようやく反撃。
75分、ロメロ・フランクが粘って右へ。吉原のアーリークロスはDFに当たると、こぼれ球はフリーで入ってきた保崎淳の下へ転がりましたが、シュートは枠の上へ。77分はさらなる決定的なシーン。高い位置でのプレスから、奪った鈴木がDFともつれたボールは小澤がキープ。飛び込んだDFを華麗にかわし、「しっかり見えていた」右スミを狙ったシュートは横浜GK関憲太郎がファインセーブ。「フリー過ぎちゃって、GKのタイミングが一番合うシュートになってしまった」と小澤。ゴールは生まれません。
80分、81分、82分と相次いで鈴木将也、常盤聡、加藤広樹を投入して勝ちに出た柱谷哲二監督。そして81分、荒堀に替わって小野瀬が10分あまりのJリーグデビューを飾ります。各選手が口を揃えて「カウンター合戦になってキツかった」と話した最終盤。そのカウンターをフィニッシュまで繋げる回数が多かったのは横浜。88分、宮崎の素晴らしいストレートグラウンダーを、受けた難波はトラップから反転してシュートも、DFに当たってバーの上へ。89分、高地のパスから、小野瀬の面白いクロスはGKがファンブル。しかし、3分前に投入されていた西田剛が詰めたシュートも当たらず枠の左へ。
第4審の掲示した数字は4分。選手の負傷もあって長めに取られたアディショナルタイムも6分が経過し、もはやドロー濃厚となった97分。輝いたのは18歳の若武者でした。難波からのパスを右サイドでもらった小野瀬の選択は、大胆なカットイン。しかし、その切れ味は衝撃的。細かいボールタッチのスラロームに水戸DFは対応できず。1人かわし、2人かわし、シュートを打ちにいくタイミングでブロックされたものの、ルーズボールに反応した野崎が右足一閃。ボールはゴール右スミギリギリに飛び込みます。劇的な先制弾に沸騰する三ツ沢。その歓喜を呼び込んだのは「最後に仕掛ける選手」と岸野監督に送り出された高校生。横浜が土壇場で勝ち点3を奪い取る結果となりました。
水戸は「だんだんJ2にも慣れてきた」と語る鈴木の存在感はさすがでしたが、個人的には気の利く小澤が目を引きました。シュートにラストパスにと、多彩なキックを生かす術も熟知。今後のパフォーマンスにも注目したい選手です。横浜は「最後、殴り合う、カウンターし合う試合になったんで、ちょっとしんどかった」(岸野監督)状況で、小野瀬という新しい才能が躍動して、勝ち点3を獲得したのは大きな成果。主力が大量離脱する中、彼のような新しい力の台頭は結果を出していく上で、欠かせないファクターでしょう。   土屋

  • Line