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サッカー フットサル コラム 2024年4月6日

1ミリの隙も許されないアーセナルが一気に駆け抜けるのか

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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強敵との対戦を数多く残しているアーセナルだが、今シーズンの彼らなら大仕事をやってのけたとしても不思議ではない

強敵との対戦を数多く残しているアーセナルだが、今シーズンの彼らなら大仕事をやってのけたとしても不思議ではない

ヒリヒリするような展開が続いている。

三強の優勝争いはし烈だ。『opta』による予想も試合ごとに変化している。先週末の大一番、マンチェスター・シティ対アーセナル戦がスコアレスドローで終わったときは、以下のような優勝確率だった。

リヴァプール:47・7%
シティ:33・5%
アーセナル:18・8%

そしてミッドウィーク後は、リヴァプールが45%で相変わらず本命。33・6%のシティが対抗と目され、アーセナルは21・4%で三番手に位置している。Opta Football Predictions | The Analyst

ただ、2024年のパフォーマンスではノースロンドンの強豪がずば抜けている。9勝1分無敗。35得点・4失点。クリーンシートも6試合あり、攻守ともに不安は感じられない。

とくに守備陣は凄みを増し、シティ戦では徹底的にスペースを潰すプランにより、敵地エティハドで貴重な1ポイントを手にしている。ガブリエウ・マガリャンイスはアーリング・ハーランドを完封した。66分から投入された冨安健洋は、ジェレミー・ドクをねじ伏せた。

また、ミッドウィークのルートン戦は、ハムストリングに不安を抱えるブカヨ・サカに休養を与え、デクラン・ライスとガブリエウ・ジェズス、ガブリエウ・マルチネッリをベンチに温存しながら2‐0の快勝だ。

前半だけで2点のリードを奪っていたため、後半は無理をせずに試合全体をコントロールした。20年ぶりのリーグ優勝に向け、現在のアーセナルには余裕すら感じられる。

アルセーヌ・ヴェンゲル体制が晩年を迎えたころ、アーセナルはトップランクの末席にしがみつくだけだった。経済力でシティを下まわり、監督力でリヴァプールのユルゲン・クロップ監督にかなわなかった。

ヴェンゲル退任後に招いたウナイ・エメリ(現アストンヴィラ監督)も苦しみ、チャンピオンズリーグ出場権すら獲得できない。2019/20シーズン途中に監督のポストに就いたミケル・アルテタも、8位、8位、5位。昨シーズンは優勝したシティに5ポイント差の2位になって復調の兆しをつかんだものの、解任が叫ばれたこともしばしばあった。しかし……。

「解任はメディアの推測に過ぎない。われわれはミケルを信じていた」

危機説が流布した当時から、ゼネラルマネジャーのエドゥはクラブをアルテタに託し、オーナーのスタン・クロエンケもスペイン人の戦略家を全面的に支持していたという。

リヴァプールにはクロップの “フェアウェル・パーティー”、シティにはリーグ史上初の四冠という大義名分がある。3月29日のコラムでも報じたように、両クラブは最終盤のプレッシャーに慣れている。アーセナルが持たない強みだ。

プレミアリーグでブライトン戦、アストンヴィラ戦、ウォルヴァーハンプトン戦、チェルシー戦、トッテナム戦、ボーンマス戦、マンチェスター・ユナイテッド戦、エヴァートン戦を残し、チャンピオンズリーグ準々決勝でバイエルンを退けても、準決勝の相手はシティ対レアル・マドリー戦の勝者だ。心身ともに1ミリの隙も許されない。

それでも、今シーズンのアーセナルは勝負強さを身にまとっている。全コンペティションを通じ、マルティン・ウーデゴー、カイ・ハヴァーツ、レアンドロ・トロサール、サカ、G・ジェズス、マルチネッリの6選手が10ゴール以上に関与するなど、どこからでも点が取れる。

ヒリヒリする展開を楽しみつつ、一気に駆け抜けるか!?

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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