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前半、日本が狙ったのは、センターバックの西尾隆矢(セレッソ大阪)と高井幸大(川崎フロンターレ)からMFの山本理仁やトップの藤尾翔太(FC町田ゼルビア)、植中朝日(横浜F・マリノス)に強いボールを当て、そのボールをワンタッチでつなぐパターンだった。
この“くさびのパス”を使った攻撃パターンが、ピッチ上で表現できていたのは収穫だった。
ただし、このパターンは「諸刃の剣」でもあった。
パスを出す側のDFが、しっかりと状況判断できていなかったのだ。その結果、“くさびのパス”を使うタイミングを誤って、マリにカットされてピンチを招いてしまったのだ。
1点を先制した直後の5分には、西尾が蹴ったボールをを拾われてピンチを招いたが、この場面ではママドゥ・サンギャレのシュートがポストに当たって事なきを得た。だが、その後も何度も同じような場面が生まれ、34分にもやはりパスの乱れを狙われてママドゥ・サンギャレの同点弾を許してしまった。
パスを出しても受け手がマークされている、あるいは受けられたとしても苦しい体勢になってしまう。そんな場面で無理にパスを付けようとするから、そうしたピンチが生まれてしまうのだ。
懸命にボールキープする藤尾翔太
そうした状況ではパスという選択をキャンセルしてGKに戻してもいいし、割り切ってロングボールを蹴っておいてもいい。これからも、あのパターンを使うのなら、そうした判断能力を身に着けていく必要があるだろう。ただし、U-23代表は五輪本番までそれほど準備のための合宿も、試合もできないのだ。五輪予選を兼ねるU-23アジアカップでも、リスクを承知で果敢にトライしていくのだろうか……。
マリ戦後半の日本は、このDFからの“くさび”の形は封印。サイド攻撃から後半トップに入って中盤まで落ちてパスを引き出す動きをした染野唯月(東京V)にボールを供給したり、トップに残る細谷真大(柏レイソル)を狙うなど、無理のないボール回しに転じた。
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