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サッカー フットサル コラム 2024年3月6日

テンハフは抗ったが新執行部『INEOS』はすでに新監督を?

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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マンチェスター・ダービーは1-3の敗戦。実力差はスコア以上に歴然としていた

マンチェスター・ダービーは1-3の敗戦。実力差はスコア以上に歴然としていた

「われわれは多くの負傷者を抱えているが、チャンスもあった。両チームの差はほんのわずかだ」

マンチェスター・ダービーに1-3の敗北を喫した後、ユナイテッドのエリク・テンハフ監督は強気だった。「今回の敗戦でシティとの差が改めて証明されたのではないか」という報道陣の質問に抗ってみせた。

たしかに多くの負傷者を抱えている。リサンドロ・マルティネス、ルーク・ショー、ラスムス・ホイルンド、メイソン・マウント、アーロン・ワン=ビサカ……。タイレル・マラシアに至っては全休だ。「ベストメンバーで闘えれば」とでも考えていたのかもしれない。

さらに、「ポゼッションがすべてではない」とも語っている。だからこそブルーノ・フェルナンデスを偽9番に置き、彼のキープ力とビジョン、なおかつアレハンドロ・ガルナチョとマーカス・ラシュフォードのスピードを基軸とするカウンターに、活路を見いだそうとしたのだろう。

負傷者の続出とラインアップをふまえればやむなしか。

ただ、ゲームプランが徹底されていなかった。マイボールになった際、つなごうとする選手も少なくなかった。パスなのかクリアなのかハッキリせず、いとも簡単にセカンドボールを拾われる。

シティの浅いDFラインに対し、ガルナチョとラシュフォードが裏抜けを繰り返すわけでもなかった。ともにプレーエリアが非常に低く、ラシュフォードは時おりチャンスの糸口をつかみそうになりながら、一対一で勝てなかったり、ファウルをもらおうとしたり……。

ゴール期待値:0・26対3・32
ポゼッション率:23対77
シュート数:3対27
枠内シュート数:1対8

データでも力の違いをまざまざと見せつけられている。

また、フィジカルは水準以上だがスキルが著しく不安で、だれもが認めるスキルを持つ者は肉体的に軟弱なタイプが多い現状には首を傾げるしかない。サー・アレックス・ファーガソン体制下でキャプテンを務めたロイ・キーンも、「いったい、ユナイテッドはどこに向かっているのだ!?」と嘆いていた。

もちろん、滅茶苦茶なチーム創りはグレイザー・ファミリーに非がある。彼らの強化プランは稚拙で曖昧、しかも無軌道だった。テンハフに全責任を負わせるわけにはいかない。

とはいえ、シティに屈して4位アストンヴィラとの差は8から11に拡大した。残り12試合。逆転可能といっても、簡単ではない。直近5試合で31ゴールを記録したアーセナルに対し、ユナイテッドは現時点の総得点数が37だ。

新執行部『INEOS』の周辺から、「テンハフを全面的に支持する」との声は聞こえてこない。内部事情を知る立場にいるOBのポール・スコールズは、「チャンピオンズリーグの出場権いかんにかかわらず、おそらく現体制は今シーズンかぎりだ。すでに新監督を探しはじめていると思う」と、刺激的にコメントした。

フラムに敗れ、1-0の勝利を収めたノッティンガム・フォレスト戦も試合内容は芳しくなく、シティ戦は惨敗。サポーターとメディアが納得した試合は、攻守が連動して2-1の勝利を収めた15節のチェルシー戦だけだ。

「シティが世界最高のチームだってことを忘れてくれるな」

テンハフの抗弁はうすら寒かった。いつ、なにが起きても不思議ではない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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