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そして、ファイブバックによる相手の分厚い守りに対して、トップの田中美南にシャドーの藤野、上野真実を加えてアタッカーの人数を増やすこともできた(これに、両ウィングバックも攻撃に絡み、さらに長谷川や長野も第1戦以上に前線に絡んで攻撃の厚さを増した)。
一方の北朝鮮は、選手の顔ぶれは変更したものの、第1戦と同じファイブバックで戦い、劣勢に陥っても、残り時間が少なくなってもシステムを変えることはなかった。
この対戦では、両者の立場には大きな違いがあった。
女子サッカーでも、今ではヨーロッパやアメリカなど海外のクラブに所属する選手が多くなり、日本代表の約半数が海外組となった。
そのため、男子代表と同じく、全員が集まって準備をする時間がほとんどとれなくなったのだ。
しかも、今回の最終予選では第1戦の開催地を巡ってドタバタ劇が起こり、日本代表が現地(ジッダ)入りしたのは試合の3日前となり、海外組の合流も遅れてしまった。
一方の北朝鮮代表は全員が「国内組」であり、しかも、寒さの厳しい北朝鮮では現在はシーズンオフに当たる。
そこで、北朝鮮代表は気候が温暖な中国の海南島で25日間という長期合宿を行って、日本との戦いに備えたのだ。北朝鮮は日本代表に関する多くの映像や情報を入手することが可能だ。それを使って、合宿期間中には日本チームを分析して対策を徹底してきたはず。
その結論が、ファイブバックと日本のDFとDFの間を正確に狙ったロングボールだったのだろう。第1戦はこの戦術が功を奏して、北朝鮮は優位に立った。第1戦でトップに起用されたキム・キョンヨンは巧みな位置取りでロングボールを引き出した。
だが、日本チームは第2戦ではシステムを変更してきた。そして、北朝鮮はその変更に対応できず、準備してきた「日本対策」が機能しなくなってしまったのだ。
日本代表のこの「変更」について「原点回帰」という表現をしたメディアもある。
昨年の女子ワールドカップでは、日本代表がスリーバックで戦っていたからである。
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