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スーペルコパ決勝で宿敵マドリーに大敗を喫したバルセロナ監督シャビ
スペインスーパーカップ決勝でバルセロナはレアル・マドリーに4-1で敗れた。大敗の責任者は監督シャビ、と言わざるを得ない。
第一に、ハイラインを敷きながらプレスを掛けない、という自殺行為をチームに許したからだ。
DFラインをセンターライン付近まで上げることのマイナスは、縦パス一本で快速ビニシウスやロドリゴとGKとの1対1ができてしまうこと。逆にプラスは、相手チームを自陣に押し込め、自分たちも敵陣に入り込めるのでプレスが効くこと。このマイナスとプラスは連動していて、プラスであるプレスを効かせればマイナスである危険な縦パスを封じることができる。よって、ハイラインとプレスはセットで導入しないと意味がない。
もしハイラインだけでプレスをしないとどうなるか? 簡単に失点する、この夜のバルセロナのように。
1失点目は、ベリンガムに掛けたプレスが甘くて縦パスを出され、下がるべきところを前に出たクンデの個人的なミスも重なってビニシウスに独走された。
2失点目は、FKからカルバハルがノーマークで縦パスを入れ、フリーで走り込んだロドリゴからビニシウスへと渡って押し込まれた。
開始わずか10分で2-0。試合の大勢はこれで決した。
だが、もっと理解不能なのが、決定的な3失点目に繋がる采配である。
レバンドフスキの素晴らしいボレーで1点を返して2-1。反撃ムードが高まっていたのに、相変わらずプレスを掛けず、今度はズルズルとラインを下げて侵入を許した挙句、チュアメニにフリーでセンタリングを上げさせ、走り込んだビニシウスを倒してPKを献上した。
実は、レバンドフスキのゴールからPKの笛が吹かれるまでの3分間、バルセロナは2秒ほどしかボールを触っていない。一方、レアル・マドリーは37本連続でパスを繋いだ後、さらに13本連続で繋ぎ14本目にPKをもぎ取った。
バルセロナはハイラインでノープレスの愚の代わりに、今度はローラインでノープレスの愚を犯したわけだ。
流れを変えるのなら2-1の場面だった。反撃ムードに乗ってハイラインを維持したまま、ハイプレスを命じる選択はあったはずだ。心の声を聞けば、前からガンガン行くのが自然だった。
だが、シャビの指示はウェイティングで、せっかく前向きになった気持ちを再び後ろ向きにしてしまった。ペドリを入れてMFを4人にして中盤を厚くしたのは、プレスのためではなかったのだろうか?
これが二つ目のミス采配である。
シャビを擁護してきたカタルーニャのメディアからもさすがに厳しい声が上がっている。冬の移籍市場での補強は資金面から「不可能」が結論。監督としての真価が問われる厳しい後半戦となるのは間違いない。
文:木村浩嗣
木村浩嗣
編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。
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