ポステコグルーとの出会いがヴェルナーを復活に導く！？

しかし、彼がウェストロンドンでプレーしていた当時はコロナ禍だった。不慣れなイングランドで隔離され、ストレスを発散できない環境だ。心身ともに落ち込んでいたとしても不思議ではない。チェルシーで過ごした2シーズンを、ヴェルナーのレヴェルと判断するのはいささかアンフェアだ。

まして、彼は内向的だという。はたしてチェルシーは、バックアップできていたのだろうか。

「アンジェ・ポステコグルー監督とのミーティングはとてもポジティヴだった」

ヴェルナーの周辺から漏れ伝わる情報は明るく、前向きだ。西ロンドンで抱いた疎外感を、ポステコグルーは取り除こうとしているのかもしれない。

チェルシーに移籍する前のヴェルナーは冷静、いやペナルティーボックス内では “冷酷” と評されるほどだった。なにか、きっかけさえつかめれば、本領発揮も考えられる。

ヴェルナーが目論む復活のガイドとして、選手を糾弾しないポステコグルーは最高の人材だ。トップ、両ウイング、二列目中央を起用にこなすユーティリティー性も、ドイツ代表歴を持つ男の強みといえる。

二列目中央にジェイムズ・マディソン、前線は右からクルゼフスキ、ソン、そしてヴェルナー。控えにジョンソン、リシャーリソン。実に強力な攻撃陣だ。彼らがかみ合った瞬間、トッテナムのチャンピオンズリーグ出場権獲得は具体化する。

文：粕谷秀樹