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ドリブル突破を図るジローナのヤン・コウト
ジローナのスペクタクルなサッカーを見ていると、“指導者時代にもっと徹底して教えておけば良かったな”と思うことがある。
それが「相手を引き付けてからパスを出すこと」だ。
「フリーの仲間へパスを出す」ことを教えるのが最重要で最優先なのだが、その次に子供が知っておくべきことは「相手を引き付けてから……」である。
引き付けて出すのと引き付けないで出すのでは、「ボールを繋いで崩す」のと「ボールを繋ぐ」という差になって表れる。引き付けて出せば、引き付けられた選手(自分へのマーカー)が直ちに守備に対応できない。ダッシュが空振りし逆を突かれて姿勢が崩れるから。結果、自分へのマークは甘くなるし、パスの受け手へ寄せる動きも鈍る。
ボールを持つ→引き付ける→パスを出す→相手の体勢が崩れ、自分へのマークが甘くなる→動いてリターンをもらう。以上の一連の動きだけで、引き付けられた選手(=自分へのマーカー)は無効化され、リターンをもらった自分はフリーで、近くの味方との2対1の数的有利ができている。もちろん、以上は一瞬のことで、もたもたしていると相手は体勢を整えてまた数的同数に戻ってしまうのだが。
「崩す」というとドリブルとかトラップ&フェイントとかワンツーとか技術的なレベルの高いプレーを想像するが、スペースと時間に余裕ある自陣なら「引き付けて出す」だけで十分崩すことができる。
引き付けて出すことにはもう2つメリットがある。1つは相手にプレスを強制することで疲れさせること。2つ目は味方にパスコースを作る間を与えることだ。
自陣ゴール前からジローナが足下にボールを繋ぎながらするすると上がって来れるのは、ゆっくりプレーして相手にわざとプレスさせ、同時に周りもボールをもらいに行き、それをかわしてパスを出す、という連続をチーム全体でスムーズに行っているからだ。
彼らのボール出しにはキーマンがいない。誰が絡んでも同じコンビネーションが正確にできる。
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