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サッカー フットサル コラム 2023年11月14日

「クラブの歴史と紋章とシャツに泥を塗るのは許せない」セビージャファンの怒りは頂点に

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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ディエゴ・アロンソ監督

ディエゴ・アロンソ監督

「まぁ、口が上手いのは確かですね。問題になりそうなことは言わない。だけど、言い訳を並べているようにしか聞こえない」 私の隣にいたベテラン記者のコメントは、生中継のラジオでアンダルシア中に流れたはずだ。

ふがいないセビージャダービーでのセビージャでの戦いぶりだった。引き分け(1-1)には終わったが、内容的にはベティスの圧勝。ラキティッチの「40メートルの距離から枠ギリギリに飛び込むなんて守備不可能」(ベティスのペジェグリーニ監督)という見事なシュートで負けが付かずディエゴ・アロンソ監督のクビが救われた、というのがセビージャ側の唯一の収穫だった。

今日からインターナショナルマッチウィークに入って10日間ほどの練習時間ができるが、果たして立て直せるのだろうか? 絶望的なように思える。4日前のCLアーセナル戦では枠内シュートたった1つという不名誉な内容で惨敗していた(2-0)。

ファンの怒りは頂点に達している。

アーセナル戦後、最も過激なサポーターたちは「敗北も内容の悪さも許せるが、クラブの歴史と紋章とシャツに泥を塗るのは許せない」という声明を出していた。ダービー後も「辞職!辞職!フロントは総辞職!」というコールがゴール裏から起きた。

ベティス先制直後のオカンポスからスソへの交代の際にも大きなブーイングが起きた。「ブーイングについてどう思うか?」という質問に対して、アロンソ監督は誰にでもわかる戦術的なポイントを交代の理由に上げただけ。会見後、「あれはこれ以上傷を負わないよう、という自分の保身のための交代だったんじゃないか」という記者たちの笑い話が盛り上った。

中でも辛辣だった質問が、「あなたの監督としての実績はほとんど知らないが、あの内容で本当に満足なのか?」というもの。それへの返答は重要ではない。アロンソ監督はウルグアイ代表をカタールW杯へ導いた立派な実績がある。“だが、そんなことは知ったことではない”とその記者は言っているのだ。

アマチュア相手に1勝を挙げた以外は4分2敗。監督への尊重はすでに失われているのだ。

欧州で実績がなく、スペインで無名であることは当初から危惧されていた。「昔、ウルグアイの鉄板焼き屋で知り合って意気投合した」というスポーツ・ディレクターの言葉は、火に油を注ぐだけだった。馴れ初めなんて別にどうでもいいのだが、不信感を募らせるためだけの余計なコメントだった。

もしこのまま解任されてしまえば、いくつかの記事の見出しは『予告された殺人の記録』になるはずだ。解任されるのがわかっていて解任された、と。ノーベル文学賞ガルシア・マルケスも自著のタイトルが、まさか解任報道に使われるとは思ってもいなかったろう。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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