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サッカー フットサル コラム 2023年11月3日

申し分のないスタートを切ったトッテナムに試練が訪れる

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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10節のクリスタルパレス戦で復帰したベンタンクール。心地よい攻撃のリズムを紡ぐ司令塔だ

10節のクリスタルパレス戦で復帰したベンタンクール。心地よい攻撃のリズムを紡ぐ司令塔だ

「もう “スパーズィー” とはいわせねえからな」

トッテナム・サポーターは強気だ。ちなみにスパーズィーとはプレミアリーグならではの造語で、だらしないという意味である。

「アーセナル、マンチェスター・シティ、リヴァプールと並ぶ優勝候補のひとつだ」

ノースロンドンのライヴァルを永らく率いたアルセーヌ・ヴェンゲルも、今シーズンのトッテナムを高く評価している。

10試合を消化した時点で8勝2分無敗。昨シーズンこそ7勝2分1敗とスタートダッシュに成功したが、2021-22シーズンは5勝5敗、19-20シーズンは3勝3分4敗と、序盤戦でサポーターの期待を裏切るシーズンもあった。今シーズンもハリー・ケインのバイエルン・ミュンヘン移籍で不安視されながら、堂々の首位である。

デヤン・クルゼフスキは、好調の要因を次のように語った。

「アンジェ・ポステコグルー監督がゲームプランを丁寧に説明し、なおかつフレンドリーに接してくれるので、ロッカールームが明るくなった。それからヨーロッパのコンペティションがないってことも、大きなアドヴァンテージだよ」

「週2~3試合もこなしていると、からだが重くなるんだ。試合前のウォームアップや試合翌日の軽い調整ですら、虚脱感が襲ってくる。でも、いまのところ今シーズンはプレミアリーグ一本に集中できるし、戦略・戦術を落とし込む時間も十分にある」

トッテナムは、“時間” というアドヴァンテージを有効に使っていた。ヨーロッパのコンペティションに出場する権利を持たず、リーグカップもすでに敗れているため、負傷者が出たとしても安静、加療の時間を設けられる。

「プレミアリーグのプレー強度は凄まじい。個人差があるとはいえ、回復までに一週間以上かかる選手もいる」

三年ほど前、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督がこぼしていたように、世界一ハードな戦場を闘い抜くうえで、週に1試合のペースはなによりの補強といって差し支えない。15-16シーズンのレスターも翌シーズンのチェルシーも、同じ条件でプレミアリーグを制している。

しかし、問題はFAカップをどう捉えるか。リーグカップよりもはるかに権威のあるタイトルだ。トッテナムは来年1月初旬の3回戦から参戦する。

また、来年1月から一か月間、韓国代表のソン・フンミンがアジアカップで、マリ代表のイブ・ビスマ、セネガル代表のパペ・マタール・サールはアフリカ選手権に出場。戦線離脱を余儀なくされる。

シーズン開幕前から決まっていたスケジュールだ。トッテナムは受け入れるしかないものの、主力3選手の不在をカヴァーするプランを、ポステコグルーが練りあげるのは難しい。

申し分のないスタートを切ったトッテナムに試練が訪れる。膝の負傷から8か月ぶりに復帰したロドリゴ・ベンタンクールと、実力者ピエール=エミル・ホイビュアが連携する中盤は強力であるものの、リシャーリソンとブレナン・ジョンソンが、ソンの代役を務められるとは思えない。

“スパーズィー” が、顔を出さなければいいのだが……。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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