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サッカー フットサル コラム 2023年10月3日

ラシュフォードは足を引っ張るばかりで戦力になっていない

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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マーカス・ラシュフォード

今シーズンのラシュフォードは精彩を欠いている。彼のところでリズムが途切れるケースも少なくない

かなりの重傷である。

7節を終わって3勝4敗。1989‐90シーズン以降では最悪のスタートになった。

アーセナルとブライトンに敗れ、トッテナムとは引分け。筆者は序盤のマンチェスター・ユナイテッドを、4勝1分2敗と考えていた。

ところが、ハリー・ケインがバイエルン・ミュンヘンに去ったノースロンドンの名門に0-2で敗れた。勝利を収めたウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズ戦、ノッティンガム・フォレスト戦、バーンリー戦の内容も芳しくなく、7節のクリスタルパレス戦はホームで0-1の敗北を喫している。

たしかに敵将ロイ・ホジソンはオールド・トラッフォードを苦にせず、7節の勝利を含め、直近5試合は3勝2分。ワトフォードを率いていた当時もゴールレスドローに持ち込んでいる。

いや、ホジソン監督を云々するのではなく、ユナイテッドに大きな大きな、大きすぎる問題があるのだ。

最終ラインは壊滅状態だ。リサンドロ・マルティネスは4月に痛めた中足骨が悪化し、2~3か月は加療のため戦線を離脱する。筋肉系のトラブルを発症したルーク・ショーは10月下旬まで、ハムストリングに違和感を訴えたアーロン・ワン=ビサカは11月下旬まで、ベンチにすら入れない。

五体満足なレギュラーDFはラファエル・ヴァランただひとりという、惨憺たる状況だ。

ヴィクトル・リンデレフは自軍ゴール前でフィジカルの脆さを露呈した。不慣れなレフトバックに起用されているとはいえ、ソフィアン・アムラバトは無様なボールロストを繰り返し、ごくごく普通の競り合いで簡単にバランスを崩す。

また、今シーズンのカゼミロはミスが多く、一対一でもあっさりかわされる。メイソン・マウントはクリスタルパレス戦の前半こそ攻守に貢献したが、後半は消えていた。

そして最も懸念すべきは、マーカス・ラシュフォードだ。

足もとにボールが渡る。一旦スピードダウンし、他選手の立ち位置には気を配らずマーカーとの間合いを図る。相手DF陣の態勢が整う。数的不利にもかかわらず強引なドリブル突破を図り、ボールロスト。奪い返そうとしない。

この繰り返しだ。

エリク・テンハフ監督の基本戦略は素早く、鋭い攻守の切り替えであり、この部分を怠ったからこそ、クリスティアーノ・ロナウドと袂を分かった。ラシュフォードはかつてのヒーローほど自己中心的ではないものの、基本戦略に則っておらず、気まぐれにプレーしているだけだ。

公式戦30ゴールという昨シーズンのデータをふまえると、ラシュフォードは必要不可欠だ。テンハフ監督も復調を期待している。だが、現状はチームの足を引っ張るばかりで、戦力になっていない。もし、ジェイドン・サンチョがラシュフォードのように怠慢だったら、テンハフ監督は容赦なく先発から外すだろう。

ラシュフォードしかり、カゼミロしかり、額面どおりに働かない選手は控えに降格。勝利と出場機会に飢えた若者を、アレハンドロ・ガルナチョやハンニバル・メジブリ、左足首の負傷が回復したコビー・メイヌーなどを積極的に起用すべきだ。刺激的な人選こそがチーム活性化の特効薬である

クリスタルパレス戦終了後、冷たい雨のなかで人目もはばからず慟哭する少年がいた。初老の男性が呆然と立ち尽くしていた。ユナイテッドは彼らの感情に応える責務がある。トッテナム戦のリヴァプールは、ふたりの退場者を出しても少なからぬチャンスを創ったではないか。

憎たらしいほど強かったころのユナイテッドは、逆境をエネルギーに代えてサポーターの心に深く熱く訴えていた。弱々しく、闘えない悪魔など、この世に必要ない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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