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サッカー フットサル コラム 2023年9月26日

優勝争いが面白くなってきた、2強対決よりも三つ巴の方が面白いに決まっている!

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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マドリッドダービー、アルバロ・モラタは2得点

マドリッドダービー、アルバロ・モラタは2得点

アトレティコ・マドリーが全勝のレアル・マドリーを倒してマドリッドダービーを制したことで、優勝争いが面白くなった。2強対決よりも三つ巴の方が面白いに決まっている。

興味深い点がいくつかあった。

レアル・マドリーの左SBフラン・ガルシアは背後に穴を開けることはわかっていた(というかそれがチームの戦術だ)が、加えてこの試合では守備的な“本能”に欠けることがわかってしまった。

1失点目も3失点目も、アラバがモラタの前に飛び出したんだから、モラタに寄せるのはフラン・ガルシアしかいない。誰に教えられなくても、役割分担がどうでも、目の前にフリーの敵がいる、という危機感だけでシュートを妨害しようと動くものだ。

だが、フラン・ガルシアは動かなかった。

これって結構面白い現象だ。

子どもだとボールに集まって団子になる。ボールが大好きだから、相手から何とかボールを奪おうとするし、シュートをブロックしよううとする。本能的に。で、ワーッとみんなが殺到して団子になる。

監督の仕事は団子にさせないことで、そのために役割分担とかポジショニングとかを教える。フラン・ガルシアは逆だ。本能的に動けない。集中力に欠けるのか、それとも守備が嫌いなのか。「左CBがかぶって相手FWに背中を取られたら、行くのはお前だぞ」と要確認のタイプなのかもしれない。

戦術が伝染していくことも良くわかった。

グアルディオラが流行らせたDFが上がって行き中盤とゴール前で数的有利を作るやり方は、今シメオネ監督もやっている。ジローナのミチェル監督もやっている。

57分、アトレティコ・マドリーは連続して20本のパスを繋いだ後グリーズマンのシュートで終わった。31%の支配率だったのにパスワークで崩した印象はアトレティコの方が強かった。左CBのエルモソが上がってキープ力と展開力を増強しているのに対してレアル・マドリーは無策。対照的に、ずっとトップ下で爆発させてきたベリンガムをこの試合に限ってセカンドトップ化したり左サイド化したりするアンチェロッティの策は、ことごとく外れた。

FK時に壁の下に選手を寝転がらせることも伝染した戦術の例である。

今は常識だが、ほんの5年ほど前までそうではなかった。そうであればロシアW杯で壁がジャンプして日本が失点することはなかった。GKの川島永嗣がずい分責められたが、悪いのは飛んで隙間を作った壁の方。誰が始めたのかはわからないが、この偉大な発明のお陰で壁はジャンプしても良くなり、FKの成功率はずい分下がった。

15分、名手アラバのFKは壁に阻止された。周りから促されて慌てて寝転がったのはリノだった。寝転がるのは最も当てにならない守備者で、ソシエダでは久保建英がやらされている。

その久保はヘタフェ戦で今季4ゴール目を挙げた。角度は無かったが迷わず足を振った。「決めて当然」の貫禄が出ていた。

日曜日のお昼、快晴のサッカー日和だったがスタジアムに空席が目立ったのは、ちょうど国際映画祭が開催されているせいかも知れない。2日前、宮崎駿監督がドノスティア賞(特定の作品ではなく映画界への貢献に対する最高賞)を受賞したばかり。私も映画祭の取材でヘタフェ戦は録画観戦となった。試合を諦めて見た作品は途中退場者も出るほど良くなかったので、スタジアムへ行かなかったことを少し後悔。ちなみに、久保選手が最近見て面白かったのは『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』だと前にインタビューで言っていた。この作品大変面白いので私もおススメします。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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