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そんな気持ちで、僕はこの“ダブルヘッダー”観戦に訪れた。
「なでしこリーグ」ではホームのS世田谷が3対0で快勝した。
1点目はバイタルエリア付近でワンタッチ、ツータッチのパスがつながり、2点目はMF金子ゆいのドライブをかけたミドルシュート。そして、3点目はFW大竹麻友と三本紗矢香とのスペースを使った大きなワンツー……。3点すべてが、異なった形から生まれたゴールだった。
一方、敗れた愛媛もワントップの今蔵綾乃が再三DFラインの裏への飛び出しを見せ、さらに後半から交代で投入されて今蔵とツートップを形成した伊勢さつきも同様に突進力のあるFWで、攻撃の形は十分に作っていた。両チームがオープンに攻め合った攻撃的な好ゲームだったのだ。
さて、2試合目のWEリーグカップの試合は植木理子や藤野あおばといった代表メンバーも含むベレーザが優位に立った。だが、上尾野辺めぐみ、川澄奈穂美、道上彩花といったベテランがチームを引っ張る新潟も堅固な守備で対抗。
開始10分でCKから新潟が先制すると、ベレーザも菅野奏音と藤野が決めて前半のうちに逆転したのだが、全体に両チームともに守備の堅さ方さが目立ち、第1試合の「なでしこリーグ」のオープンな試合に比ると、“堅い試合”となった。
そして、後半に入ると試合は激しさを増し、61分にダイナミックな展開から石淵萌実が自身2点目を決めて新潟が追いつくと試合はさらにヒートアップしていった。
運動量やプレー強度は、これまでの女子サッカーの常識をはるかに上回るもので、WEリーグのプロ選手たちはアマチュアの「なでしこリーグ」との違いを見せつけた。
2021年に発足したWEリーグ。
初年度は、アマチュア時代とサッカーの内容に大きな違いはないように感じられた。だが、昨シーズン(2022-23シーズン)はWEリーグは明らかにレベルアップしていた。そして、今シーズン、開幕直後の試合から非常にプレー強度の高い試合が見られたのだ。
ワールドカップに挑んだ日本代表では、かつてないほど多く海外組の選手がプレーしていた。日本の選手たちは、プレー強度の高いヨーロッパやアメリカで経験を積むことで国際舞台で戦える選手に成長したのだ。
だが、国内リーグ(WEリーグ)のプレー強度が高くなれば、日本の女子サッカーの水準はさらに上がるはずだ。
いずれにしても、これからの1年は日本の女子サッカーにとって非常に重要なシーズンになるはず。10月に始まるリーグ戦に注目したい。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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