三十路の青春！遠藤のマジカル・ミステリー・ツアーがはじまる

遠藤の背番号は慣れ親しんだ『3』に決まった。本拠アンフィールドのロッカールームでは、ファン・ダイクの隣に位置する

ワタル・エンドウがやって来るヤァ！ヤァ！ヤァ！

ザ・ビートルズの大ヒット曲『A Hard Day’s Night』に、無理やり（？）付けられた邦題をもじってみた。正しくは『ビートルズがやって来るヤァ！ヤァ！ヤァ！』であり、活字メディアで育った筆者がこだわると、ビックリマークの後は一文字分のスペース設けることが望ましい。

スペースのカバーは遠藤航の特徴である。豊富な運動量と緻密な状況判断力を活かし、ピンチの芽を未然に摘み取ってきた。リヴァプールはトレント・アレキサンダー＝アーノルドが右サイドを駆け上がった場合、彼の背後のカバーが遅れがちだ。遠藤が中盤に入れば、なんら問題はない。

新シーズン開幕を前に、マージーサイドの名門は補強で恥をかいていた。ブライトンのモイセス・カイセド、サウサンプトンのロメオ・ラヴィアとはクラブ間で合意に至りながら、両選手ともにチェルシーを選んだ。カイセドには1億1000万ポンド（約196億円）を提示しながら契約できなかった。

したがって遠藤との契約を、「妥協の産物」と低くみるメディアもある。カイセドの1億1000万ポンドに対し、日本代表のキャプテンは1620万ポンド（約29億円）だ。たしかに安価ではある。遠藤の年齢（30歳）も影響しているに違いない。

ただ、彼はかねてからプレミアリーグを希望し、そこにリヴァプールからオファーが届いた。要するに、請われての移籍である。モチベーションは申し分ない。

チェルシーの青いユニフォームを欲していたカイセドとラヴィアに、赤いウェアを強いても似合いはしない。

「ワタルは人として、選手として、父親としてもすばらしい。彼と契約できて、われわれはとても喜んでいる。ワタルはいつだって、わたしのリストに入っていたんだよ」

現地時間8月18日に開かれた記者会見で、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督からは遠藤に対する期待感が手に取るように伝わってきた。