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その才能に疑いの余地はないグリーンウッドだが、復帰には否定的な意見もある
人生は、なにが起きるか分からない──。
複数の暴行罪で訴えられていたバンジャマン・メンディが、無罪になった。三年にもおよぶ捜査の末、すべての起訴が取り下げられている。ことし6月30日にマンチェスター・シティとの契約が切れていた彼は、今シーズンからフランス・リーグ1のロリアンでプレーすることになった。
また、同じく暴行罪に問われていたメイソン・グリーンウッド(マンチェスター・ユナイテッド)にも、無罪の評決が下った。
放免されたとはいえ、メンディもグリーンウッドも好奇の視線にさらされる。スタジアムでは容赦ないブーイング、口汚い野次、不道徳的なバナーなどを覚悟しなければならない。
SNSもシャットアウトした方がいい。匿名性を悪用し、他人様を必要以上に糾弾する者がはびこるこのご時世では、心の健康を維持するのは不可能だ。
さて、ユナイテッドはグリーンウッドをトップチームに加えるか、今シーズンはローンで徹底的に鍛え直すか、意見が分かれているという。「無罪は納得できない」と、拒絶反応を示す女性選手、スタッフも少なくはないとの情報もある。
一度は起訴されたのだから当然だ。証拠として提出された画像、映像、音声から判断する限り、疑いは払拭できない。ただ、司法は無罪を言いわたし、グリーンウッドには(メンディも)セカンドチャンスが与えられた。
もし、何事もなければ、メンディはビッグイヤーを掲げていたのだろうか。偽サイドバックとして、ジョゼップ・グアルディオラ監督に高く評価されていたのだろうか。
グリーンウッドが戦列を離れなければ、ユナイテッドはもう少し点を獲れていたに違いない。ローンでもヴォウト・ヴェフホーストには興味を示さなかった。ケガが多く、稼働率が低すぎるアントニー・マルシャルも放出していたのではないだろうか。
右からグリーンウッド、マーカス・ラシュフォード、アレハンドロ・ガルナチョ……。3トップ全員がアカデミー出身という並びも考えられたはずだ。
人々の心にわだかまりは残る。MVP級の活躍をしたとしても、しばらくの間は針のムシロだ。意地の悪いメディアは枕詞を添えて報道する。
グリーンウッドの去就に関し、ユナイテッドはスポンサー、サポーターズトラストの意見にも耳を傾け、熟慮のうえに熟慮を重ねるという。手元に置くのか。信頼できるスタッフがいる他クラブに預けるのか。あるいは関係を断ち切るのか。
「9月初旬のインターナショナル・ブレイクまでには決定する」
ユナイテッドは制限を設け、最終的にはCEOのリチャード・アーノルドにグリーンウッドの処遇が委ねられた。
21歳の若者の人生を左右する重要な決断だ。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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