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サッカー フットサル コラム 2023年8月1日

規律がとれており、よく走り、技術でも日本が優れていたサッカー日本女子代表

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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サッカー女子スペイン代表

サッカー女子スペイン代表

男子に次いで女子もスペインに勝った。同じW杯という大舞台で。それも大勝で完勝である。たまたま挙げた1点を専守防衛で猛攻に耐えたという金星ではない。

驚かされたのは、日本女子たちの技術の高さだ。

日本と当たるとスペインメディアは必ず「規律がとれており、よく走る」と言う。戦術面と体力面を褒めるわけだ。その裏には「技術はスペインが上」という確信がある。

だが、この試合では技術でも日本に負けていたじゃないか! そこを認めないとスペイン女子の今後はない、と思う。

[5-4-1]で引いて守りカウンター狙い、と言うのは簡単だがやるのは難しい。

なかなかカウンターに出ることができず、逆に波状攻撃にさらされて、プランが絵に描いた餅になるのはよくあることだ。特に危険なのは、ボールを回復した直後に奪い返されること。前に出ようとして逆を突かれ、ボールをロストした選手とパスをもらおうとした選手がマークを外し、自陣深くであることが多いので、そのままシュートや決定的なアシストを送り込まれる──スペインがそんなシーンを見せることは一度もなかった。

日本の奪った選手とボールをもらいに行った選手の技術が高く、最もリスクの高い直後のパスを繋げていたからだ。トラップ&フェイントやワンタッチでのパス交換やワンツーでプレスをかわして前を向く。そうなるとスペインはファウルで止めるか、カウンターを喰うかしかない。

スペインのテレビにインタビューされたINAC神戸レオネッサの監督が「みんな両足が使え、利き足がわからないほど」と、日本女子の技術の高さを褒めていた。両足でトラップでき、短い距離なら両足でのパス交換もできるとなると、プレスの的が絞れず塞ぐべきパスコースが読めない。

前を向けた後の裏へのパスの精度、抜け出した後のセンタリングの精度、ゴール前でのシュートの精度もすべて、日本の技術の高さの証明だった。

周りのサポートも的確で速かった。戦術的に賢かったということだ。

いてほしい場所に動いて、ボールを触ってリターンしてくれる、あるいはスペースのあるところへボールを逃がしてくれる。相手を背負って前に向かない状態では、ちゃんと後方ににポジショニングしてくれ、バックパスを受けると大きく蹴り出してくれる。

さらに、日本は「プランB」も使えることをこの試合で見せたが、スペインはまた同じ戦い方をされたらどう対応するのかのヒントすら披露できず仕舞い。

采配で流れを変えることができなかったビルダ監督が批判されている。「プランBがない」と。カタールでの男子と同じである。

ただ、女子の方は「内乱」が後を引いており、監督の立場は微妙になった。1年前、15人の選手がビルダ監督解任を要求した。連盟はこれを突っぱねたが、15人のうち12人はこのW杯の招集外となっているのだ。

後半もゲームプランを遂行し点を取りに行った日本と、3点目以降は明らかに意気消沈し混乱し凡ミスが出たスペインではメンタル面でも大差があった。内乱の傷口が開いたままではスペインの立て直しは簡単ではない。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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