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サッカー フットサル コラム 2023年7月12日

ユナイテッドのGKヒストリーはデヘアから日本の若者に・・・

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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デヘアと別離のときがやって来た

デヘアと別離のときがやって来た

サー・マット・バズビーが率いた当時は、アレックス・ステップニーがチーム全体に安心感をもたらしていた。サー・アレックス・ファーガソンの時代はペーター・シュマイケルに始まり、エドウィン・ファン・デル・サールからダビド・デヘアに引き継がれた。

マンチェスター・ユナイテッドのGKヒストリーは、現地時間7月8日に新たな局面を迎えた。

デヘアと別離のときがやって来た。契約上のミスを犯した上層部の不手際が発端だが、彼は恨み・つらみをひと言も口にしていない。

「世界最高のクラブでプレーできたのだから、感謝するしかない。12年間、ありがとう」

デヘアは最後の最後まで “ユナイテッドLOVE” を貫いた。なんて素敵な男なんだ。彼の人生に幸あれ。こちらこそ、12年間ありがとう。

さて、ユナイテッドはデヘアに代わる新GKとして、アンドレ・オナナとの契約が間近に迫っている。彼が所属するインテル・ミラノとの交渉は順調に進み、移籍金5000万ポンド(約91億5000万円)前後で決着する見込みだ。

さらに、浦和レッドダイヤモンズの鈴木彩艶もレーダーに捉えたという。移籍市場の動きに詳しいメディアの情報によると、具体的な金額の提示こそないものの、ユナイテッドを率いるエリク・テンハフの獲得リストに、“ZION SUZUKI” の名前は書きこまれている。

問題は鈴木の立場だ。仮にユナイテッドと契約したとしよう。第一GKはオナナであり、鈴木はトム・ヒートンともに二番手を争う公算が大きくなる。当然、プレミアリーグとチャンピオンズリーグはオナナが起用され、鈴木は国内カップが主戦場だ。

2023/24シーズンのユナイテッドは、プレミアリーグの4位以内とCLの上位進出が大命題となり、国内カップ戦の優先順位は高くない。したがって、鈴木の出番は限られる。

ユナイテッドのトレーニングセンターで勝利の味をよく知るカゼミーロ、ラファエル・ヴァランにアドヴァイスを求め、つねに高いレヴェルを求めるブルーノ・フェルナンデス、ルーク・ショー、リサンドロ・マルティネスと接すれば、鈴木は心身ともに磨かれるかもしれない。

だが、二番手GKは実戦の勘を維持することが難しく、ユナイテッドは世界中から好奇の視線が集中する。異次元のプレシャーだ。

こうした状況をふまえると、ユナイテッドと契約後の初年度はローン移籍。イングランドの、もしくはヨーロッパのフットボールに慣れた方がいいだろう。急がばまわれ、である。

1970年代中期、岡野俊一郎氏(元日本サッカー協会会長)は、「キーパーのレヴェルが低いままだと日本代表は厳しい」と、テレビ解説やインタビューで事あるごとに指摘していた。その後、多くの選手が日本のゴールを守ってきたが、世界から評価されたGKは皆無といって差し支えない。

ただ、センターフォワードの古橋亨悟(セルティック)がスコットランド・リーグのMVPに輝き、ウイングの三笘薫(ブライトン)がイングランド、いやいや世界を驚かせたように、日本フットボールのレヴェルは確実に上がってきた。ワールドクラスのGKが生まれる土壌は整いつつある。

いつの日か鈴木がユナイテッドのゴールに君臨し、デヘアのようにサポーターから愛される。日本代表の明日を担う若者は、新しい歴史を紡ぐひとりであってほしい。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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