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サッカー フットサル コラム 2023年6月30日

1ペニーすら投資せず、1ペニーたりとも損しないように・・・

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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メイソン・マウント

ユナイテッドにとって、マウントの加入は大きなプラスだ

二週間ほど前からマンチェスター・ユナイテッドの株価は上昇していた。株式市場の動きに精通する『The Wall Street Journal』や『Financial Times』、『Bloomberg』が「ユナイテッドの買収に大きな動き」と報じ、スポーツ系のメディアからも「新オーナーは『QIB』(カタール・イスラム銀行)が有力」との情報が数多く飛びはじめていた。

『QIB』の買収が間近ということは、グレイザー・ファミリーが手を引くのだろう。『QIB』の条件は株式100%獲得である。もうひとつの新オーナー候補であるジム・ラトクリフ卿は80%の株を取得し、残り20%はグレイザーが保有すると提案していたが、サポーターの意見は「グレイザー、出ていきやがれ」で一致していた。

なぜならアメリカ人オーナーは2011年にユナイテッドを買収した後、1ペニーすら投資していない。アメリカ在住とはいえ、オールド・トラッフォードに姿を見せるのは年に一、二回。クラブの財政状態が苦しくなっても役員特別報酬を一度も断らず、減額もせず、みずからの懐だけを気にしてきた。

要するに、ユナイテッドは投資の対象でしかなかった。クラブに愛情を示さないオーナーなど、無用の長物だ。100%の怨念を込め、至近距離からスネを蹴りたくなる。

クレイザーが悪政を敷いている間、マンチェスター・シティはジョゼップ・グアルディオラが、リヴァプールはユルゲン・クロップが長期政権を築き、それぞれヨーロッパを制している。ユナイテッドはチャンピオンズリーグと縁遠くなっていった。

なにしろ、めざす次元が違う。シティとリヴァプールはCLとプレミアリーグのダブルをつねに狙ってきたが、ユナイテッドは、いや、グレイザーはタイトルに関心がなかった。プレミアリーグで4位以内に入りCL出場権を得られれば、財政的にも大きなダメージはない……。その程度である。サポーターが怒るのは当然だ。

また、なにが起きてもほぼほぼスルーしてきた。「沈黙は金なり」とでも考えているのだろうか。売却の意向を明らかにした昨年11月以降も交渉を引き延ばすばかりで、進捗状況のヒントすら出さなかった。

「まさか続投する気か!?」

ディミタル・ベルバトフ、パトリス・エブラ、ガリー・ネヴィルといったユナイテッドOBも不快感を隠さなかった。

本稿執筆時点で、グレイザーは十中八九ユナイテッドから手を引く。混乱を極めた時代に幕が下ろされ、エリク・テンハフ監督と新オーナーのもとに健全な歴史が紡がれるに違いない。

だが、新体制の発足は7月初旬なのか、中旬以降にずれ込むのか、はたまたシーズンが開幕する8月11日も交渉は続いているのか。

グレイザーがユナイテッドを気遣うはずがなく、1ペニーたりとも損失しないように延々と駆け引きするとしたら、至近距離からエルボーの一発でもお見舞いしたくなる。

チェルシーからメイソン・マウントを獲得し、アンドレ・オナナ(インテル・ミラノ)との交渉も順調に進んでいるという。アタランタのラスムス・ホイルントはユナイテッド移籍に前向きだ。

だが、買収が片づかないかぎり、完全復活までかなり時間がかかる。ユナイテッドを愛していないグレイザーは、一日も早く立ち去るべきだ。

何度でもいう。

「早く出ていきやがれ!」

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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