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サッカー フットサル コラム 2023年6月27日

ラウール・ゴンサレスが率いるレアル・マドリーBチームが2部昇格を逃す

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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同点に追い着くと、相手チームはもう攻めなかった。というか、プレー自体を放棄した。

ベンチのスタッフはグラウンドに侵入し、ファウルをされると起き上がらず、ジャッジにアピールしまくる遅延行為の連続でプレーを切りまくった。ボールボーイはボールをなかなか返さず、逆にお客さんはボールを投げ込みと、スタジアム全体で昇格をサポートした。

フェアプレー精神にはとんでもなく反するが、これもサッカー。勝つべき時はどんな手を使ってでも勝たなくてはいけない。

36歳の大ベテランもいた相手チームは老練に逃げ切ったが、平均年齢19歳ちょっとのラウールのチームは0-2と2-3の2度のリードを守り切れず、2011-12シーズン、カルバハル、ナチョ、ルーカス・バスケス、モラタを擁して達成した以来の昇格を逃した。

タレントの宝庫であるはずのBチームだが、昇格にはどのクラブも苦戦している。今回のプレーオフでもレアル・マドリー、バルセロナ、セルタ、ソシエダのBチームが敗退した。新シーズン2部に参戦するのはビジャレアルBだけだ。いくらテクニックがあっても、タレントがあっても、それだけでは勝てないサッカーの奥深さである。

ラウールの監督キャリアにとっても痛い敗退だった。

昇格していれば、来年の今頃はアンチェロッティ監督の後継候補の一人として名乗りを上げるはずだった。最低でも2部での経験がなければトップチームの指揮を執るのは難しい。本人は続投を希望しているようだが、2部参戦クラブのオファーを受けてレアル・マドリーを一度離れる選択もあるかもしれない。選手の方も2部を経なければトップリーグへの道は開けてこない。

選手と監督の命運を大きく分ける、たった6分だった。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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