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サッカー フットサル コラム 2023年5月31日

レヴィーがファイナンシャル・フェアプレーを遵守しても・・・

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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トッテナム会長 ダニエル・レヴィー氏

トッテナム会長 ダニエル・レヴィー氏

探し物は何ですか? 見つけにくいものですか?

井上陽水さんの大ヒット曲、『夢の中へ』の一節である。

カバンの中も、机の中も、探したけれど見つからないのに。

陽水さんはこう続けている。

トッテナムは新監督が見つからない。就任濃厚と伝えられていたアルネ・スロットは、「フェイエノールトを離れるつもりはない」と発言した。

交渉は大詰めを迎えていたものの、フェイエノールトが提示した1500万ポンド(約25億9500万円)の違約金をトッテナムのダニエル・レヴィー会長が頑なに拒否し、両クラブは決裂したようだ。

プレミアリーグの監督経験を持たないスロットに、1500万ポンドは支払えない。また、来年の夏になると600万ポンド(約10億3800万円)のバイアウト条項が発生する。一年前とはいえ2.5倍も吹っかけたフェイエノールトに、レヴィーは怒りを隠さなかったという。

1ポンドでも経費を削り、ファイナンシャル・フェアプレーを遵守してきたトッテナムの会長が、フェイエノールトの要求を受け入れるはずがない。

ただ、トップ4に後れをとり、ブライトンとアストンヴィラに追い抜かれた2022-23シーズンを、レヴィーは厳しく受け止めなくてはならない。ブライトンとアストンヴィラは経済力でトッテナムを下まわりながらも、綿密なゲームプランで大成功を収めている。

データも正直だ。リーグ5位の得点力(70)はともかく、63失点は弁解の余地がない。ワースト6位。GKウーゴ・ロリスは失点に直結するエラーを4回も犯し、1月にスポルティング(ポルトガル)からローンでやって来たペドロ・ポロは、守備の対応があまりにもお粗末だった。

さらに、エリック・ダイアーとダビンソン・サンチェスは成長の跡が見られず、ベン・デイヴィスには衰えが忍び寄っている。当然、今夏は守備力強化が優先され、そのためには新監督を一刻も早く決めなくてはならない。一部でリンクされたセルティックのアンジェ・ポステコグルーは、交渉の初期段階にも至っていないとの情報も飛び交いはじめた。

2022ー23シーズンのトッテナムは、カンファレンスリーグの出場権すら得られない9位の屈辱を味わった。監督の人選がさらに難しくなる。

タイトルを渇望するハリー・ケインは新天地を求めるかもしれない。移籍金は1億ポンド(約173億円)前後だ。マドリーもユナイテッドもパリ・サンジェルマンも、出せない金額ではない。

1ポンドでも経費を削り、ファイナンシャル・フェアプレーを遵守してきたレヴィーにすれば、補強のための資金 “だけ” は調達できる

はいつくばって、はいつくばって、いったい何を探しているのか。

陽水さんの歌詞は、レヴィーの現状を表しているかのようだ。これまで、彼はトッテナムのためにはいつくばってきただろうか。何を探しているのかも、サポーターの理解は得られそうにない。

トッテナムは夢の中ではなく、悪夢の中で迷いつづけている。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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