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サッカー フットサル コラム 2023年5月16日

シャビの堅守への貢献、現時点での総失点はわずか13 バルセロナがダービーを制しリーグ優勝

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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バルセロナ

4節を残してリーグ優勝を決めたバルセロナ

バルセロナがバルセロナダービーを制し(対エスパニョール、2-4)、4節を残してリーグ優勝を決めた。独走優勝の原動力が守備力にあったことは明らかだ。

34試合中25試合が無失点で総失点はわずか13。13-14シーズン、堅守で知られたシメオネ監督のアトレティコ・マドリー優勝時の総失点が26だから、あの半分である。

最少得点でしぶとく勝つので、ついたあだ名が“1-0のバルサ”。実際に1-0または0-1での勝利が11試合を数えている。

この堅守はフロントと現場の努力の成果である。

フロントは的確な補強をした。

右からクンデ、アラウホ、クリステンセン、バルデの4人DFのうち昨季のレギュラーはアラウホだけ。クリステンセンは無料(自由契約)で獲り、クンデ獲得の大金はクラブの資産(選手やビジネスの権利など)を売却したりローンを組むことでひねり出した。下部組織から引き上げたバルデは、当初ミスも多かったがシャビ監督が我慢して使い、W杯に呼ばれるほど成長した。DF4人はいずれも速くて強く、監督のやりたいハイプレッシャー&ハイラインのサッカーに最適だった。

フロントは同様に攻撃陣もテコ入れした。

ケシエを自由契約で獲り、レバンドフスキとラフィーニャの巨額の移籍金はやはり資産売却とローンでねん出した。

エスパニョール戦の先発メンバーがそのまま「今季のベスト11」なのだが、うち5人(クンデ、クリステンセン、バルデ、ラフィーニャ、レバンドフスキ)が新戦力。財政的に苦しい中、非常に的確な補強だったことがわかる。

シャビの堅守への貢献は、伝統の[4-3-3]の形のまま、FWを1枚減らしMFを1枚加えて中盤の強度を上げたことにある。

FWを減らせば攻撃力はダウンするが、MFを3枚から4枚に増やすことで守備力はアップする。キープ力が上がれば守備の時間が減らせるし、プレス力が上がればボールを奪い返せる可能性が高くなるから。

「見かけ上は左FW、実際は4人目のMF」に抜擢されたのが、ガビだった。

ガビは運動量と闘争心があり「個」として守れる上に、足技もあってパスも出せるしシュートも打てる。万能で馬力があるからこそ、マイボール時にはFWとして、相手ボール時にはMFとして振る舞えた。

もっとも、この一人二役の中でガビは攻撃よりも守備に忙殺されることが多かった。だから、昨季の2得点6アシストから今季は1得点3アシストと半減したのだが、“1-0のバルサ”実現のためには必須の犠牲であり、隠れた功労者である。

その他、GKのテア・シュテーゲンもキャリア最高の活躍をした。被シュート自体が少ない堅守をくぐり抜けてきた者の前で最後の砦となり、奇跡的なセーブを連発した。

来季に向けてはいろいろ課題もある。

フロントサイドでは、資産の切り売りは一時しのぎの言わば自転車操業であること。毎年払うコストである年俸が膨らみ過ぎている現状を変えないと、根本的な財政建て直し策にはならない。なので、今年の夏は昨夏以上に補強に苦労するかもしれない。

現場サイドでは、今季もCL、ELで早期敗退し欧州での傷は癒えないまま。「欧州列強に伍せる戦力となった」とは言えない。だからさらなる補強が必要なのだが……。

シャビとラポルタ会長には一息つく暇もない。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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