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レアル・マドリー戦でゴールを喜ぶダビド・シルバ
「(ソシエダは)学ぶ気が満々の選手がいる若くて健全なグループだ。その中で私は最年長で、常に要求し続けている口うるさい存在になっている。私も若い時には物事がわかっておらず、自分を見失うこともあった。だからこそ、経験者がいろいろ言ってあげることが重要なのだ」(『マルカ』紙5月4日付けインタビューより)
ダビド・シルバ、37歳の言葉である。
先週中レアル・マドリーにも勝ったソシエダは、5位ビジャレアルに7ポイント差をつけ、CL出場権獲得に大きな一歩を踏み出したのだが、その試合でMVPになったのがシルバだった。
久保建英も素晴らしかった。気分がすでにラ・リーガに無いミリトンの軽率なバックパスをカットし、2試合連続の8ゴール目を決めた。集中力は切れないし、ダッシュはより速くなったように、切り返しの切れ味はより鋭くなったように見える。スペインに来て一番の今シーズンの中でも間違いなく今が一番の出来。残り5試合だが、ゴール数は二桁に乗るかもしれない。
だが、そんな久保よりもシルバの充実ぶりが目を引く。
“マゴ(Mago)=マジシャン”のあだ名通りの、コース、タイミング、強弱の具合がドンぴしゃりのパスを送り込むテクニック、当たられる前にボールを触ってひょいひょいと抜けて行く身のこなし、見えていないはずの味方さえ視野に入れベストの選択をできる戦術眼。定評あるこれらの能力に加えて、弱かったはずのフィジカル能力=プレスとチェイスの運動量でも若い時分よりも勝っているように見える。
今のシルバが来季の現役続行を決めたのは当然だし、ソシエダファンだけでなくサッカーが好きな人全員へのプレゼントだと思う。凄い選手は他にいても、シルバのようにうま過ぎてうならされる選手は他にいない。
そんなプレーのお手本が、“口うるさい年長者”であることを自覚して、プロ意識でもお手本になろうとしている点が、素晴らしい。
“若い連中は理解できない”と拒否するのではなく、“若い者の時代だから……”と迎合するのでもない。枯れてもいないし、芸術肌の孤高を気取ってもいない。
煙たがられてもガミガミ言う面倒臭い役を、いろんなことが面倒臭くなる年齢になってなお買って出る。自分のためだけにサッカーをしているのではなく、ソシエダのために、ソシエダの未来のためにしているから……。
これを「愛」と呼ばずして何と呼ぼう?
私も含め、日本中の年長者は見習うべきである。
久保を追いかけるつもりでシルバを見て魅了される。
そんな日本人がいるのも久保がソシエダにいる価値の一つだし、今の久保があるのもシルバがあってこそだと思うのだ。
文:木村浩嗣
木村浩嗣
編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。
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