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サッカー フットサル コラム 2023年5月2日

ユナイテッドLOVEを貫く功労者デヘアのために

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ダビド・デヘア

ダビド・デヘア

何度も何度も救われた。

やられたと頭を抱えた次の瞬間、奇跡的なセーブでボールを弾き返す。ゴールライン上の彼は絶対的な存在であり、今シーズンのプレミアリーグで最多となる15試合ものクリーンシートを記録している(4月30日現在)。

マンチェスター・ユナイテッドのダビド・デヘアである。

トップチームのなかではただひとり、サー・アレックス・ファーガソンの薫陶を受けている。永らく燻っていた勝利への執着が、カゼミーロの入団とともにふたたび刺激された。直近2~3シーズンは精彩を欠いていたが、今シーズンのデヘアは完全に復活したといって差し支えない。

ただし、守備範囲が狭い。ペナルティーボックスを飛び出してボールを処理するケースは少なく、ハイクロスにもあまり飛び出さない。また、フィードも凡庸で、プレッシャーがかかっていないにもかかわらず、ミスキックを繰り返してサポーターのため息を誘う。とくにハリー・マグワイアへの配球はスリリングだ。

シュートストップがデヘアの身上とはいえ、エリク・テンハフ監督が求めるGKとは守備範囲が広く、正確なフィードで攻撃の起点になれるタイプだ。シーズン開幕当初は指揮官のスタイルに適していないと各方面から指摘されながら、試合を重ねるごとにフィットしていったアーロン・ワン=ビサカやディオゴ・ダロに比べると、デヘアは依然として適応に苦しんでいる。

ここにダブロイド紙が飛びついた。彼らが推す新GK候補は、ディオゴ・コスタ(FCポルト)、グレゴル・コーベル(ドルトムント)、イラン・メリエ(リーズ)、ダビド・ラジャ(ブレントフォード)といったところだ。

D・コスタとコーベルは退団する意思がなく、メリエはデヘアのようにはシュートストップできず、ラジャはペナルティーボックス外からの一撃に脆い。

また、ごく一部で噂に登ったアストンヴィラのエミリアーノ・マルティネスがすぐれたGKだとしても、とにかく下品が過ぎる。テンハフの好みではない。

ボーンマスのネトはシュートストップでデヘアと同等、フィードと守備範囲では上まわっているものの、ことし34歳。同世代のデヘアを差し置いてまで獲得する必要性は低い。

マンチェスター・シティでエデルソンの陰に隠れているシュテファン・オルテガがトップランクの実力者でも、ローカルライバルに手放す確率は限りなくゼロに等しい。

さらに、短期間ながらデヘアの牙城を脅かしたディーン・ヘンダーソンは放出されるだろう。契約条項で上層部ともめたため、今シーズン終了後にローン先のノッティンガム・フォレストから戻った後、換金対象になる予定だ。

次々に候補者が消えていく。売却を明らかにしながら、進捗状況に口を閉ざすグレイザー・ファミリーが翻意した場合は補強予算が限られる。テンハフの優先順位は第一にゴールゲッターで、二番手は機動力のあるセンターバックだ。GKはとくに欲していない。

いま、デヘアとユナイテッドは、ことし6月に満了を迎える現行の契約に関して交渉中だ。第一回目は週給で折り合いがつかなかった。クラブ側は大幅ダウンを提示し、ダウンは受け入れるがデヘアの希望額に遠かったようだ。

しかし、双方のスタンスが残留であることは一致している。デヘアは紛れもなく功労者だ。12年にわたってユナイテッドに貢献してきた。仮に別れのときが訪れたとしても、クラブ側は彼の想いに対して誠実であるべきだ。

「わたしは生涯ユナイテッドを愛しつづける」

「ユナイテッドでプレーできる幸福感はなにものにも代えがたい」

デヘアはユナイテッドLOVEをつねに公言してきた。こんな選手、滅多にいない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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