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サッカー フットサル コラム 2023年4月14日

バトンタッチをめぐるユナイテッドとリヴァプールの現在地

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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前回のオールド・トラッフォードでのリヴァプールとの対戦は2-1でマンチェスター・ユナイテッドが勝利

前回のオールド・トラッフォードでのリヴァプールとの対戦は2-1でマンチェスター・ユナイテッドが勝利

2013年にマンチェスター・ユナイテッドが敢行した監督人事は、いまだに謎に包まれている。

サー・アレックス・ファーガソンの後任が、なぜデイヴィッド・モイーズだったのか。共通点は同胞(ともにスコットランド人)。カリスマ性豊かなサー・アレックスの後任などだれにも務まりはしないとはいえ、戦略家でもモチヴェーターでもないモイーズが力不足であることは、衆目の一致するところだった。

当時、サー・アレックスはジョゼ・モウリーニョを強く推していたといわれている。FCポルト、チェルシー、インテル・ミラノ、レアル・マドリーと、行く先々でタイトルをもたらした名将がお気に入りだった。モウリーニョもサー・アレックスを「ボス」と呼んで敬愛していた。

ところが、人事権を持つ役員会が「モラルに欠ける」とポルトガル人の野心家を嫌い、サー・アレックスのプランは却下されたという。たしかにモウリーニョは好戦的で、その発言がしばしば物議をかもしてきた。

だからといって、モイーズという着地点は説得力に欠けすぎる。比較対象にすらならない。ちなみに役員会が最も強く希望していたのは、ライアン・ギグスの監督兼選手だった。義妹と肉体関係を持った男は道徳観の対極に位置している。

その後ルイ・ファン・ハール、戦術的アプローチが古くなってからのモウリーニョ、オレ・グンナー・スールシャール、ラルフ・ラングニックといずれも好結果を得られず、いまようやく、エリク・テンハフが苦心しながら復活に導こうとしている。サー・アレックスの退任から10年もかかるとは、監督人事は難しい。

さて、リヴァプールは8年前のバトンタッチが奏功した。ブレンダン・ロジャーズの後を受けたユルゲン・クロップは、プレミアリーグもチャンピオンズリーグも獲得した。ドイツ人の情熱家が生み出した “ヘヴィメタル・フットボール" はトレンドになり、闘い方として採り入れるチームも少なくない。

今シーズンのリヴァプールは過渡期を迎え、激しいリズムを刻めない試合が続いているが、クロップが監督を続けるかぎり、いずれ復活する公算が大きい。そう、彼はあきらめていない。

メジャータイトルを手にした選手たちのなかには、幸福感に浸ったままの者がいる。当然、パフォーマンスからハングリー精神が感じられない。ユナイテッドを7-0で叩きのめした彼らと、ボーンマスに0-1で敗れたリヴァプールは別人だった。

永遠のライヴァルと闘う際には勝利への意欲があふれ出す。最下位相手にはだらしがない。まるで二重人格だ。

「今シーズンはなかなかうまくいかない」

クロップも肩を落とした。笛吹けど踊らず……。

残り試合数が9になったため、チャンピオンズリーグの出場権獲得は難しい。リヴァプールが全勝しても、4位ユナイテッドは残り10試合を5勝1分4敗で逃げ切れる。

せめてヨーロッパリーグのチケットだけはとクロップが鞭を打っても、選手たちがこのターゲットに向かって走れるとは思えない。

リヴァプールは大胆な改革を図るべきだ。気力を失った者は、たとえビッグネームでも放出した方がいい。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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