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サッカー フットサル コラム 2023年3月10日

カップトレブルはまだまだ狙える!残り3か月が楽しみだ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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得点したアントニーと祝福するラシュフォード

得点したアントニーと祝福するラシュフォード

前半が終了したとき、マンチェスター・ユナイテッドの反撃を予想するのは難しかった。3月5日のリヴァプール戦に大敗した後、エリク・テンハフ監督が「We have to rest」と語ったように、連戦による疲労は明らかだった。反応が鈍く、フィジカル・コンディションが上向いてきたリヴァプールに圧倒された。

この、屈辱的な一戦から中三日で迎えたベティスとのヨーロッパリーグ・ラウンド16第一戦。テンハフはリヴァプール戦と同様のラインアップで臨み、ブルーノ・フェルナンデスは左サイドからトップ下、ヴォフト・ヴェフホルストが二列目中央からトップに、マーカス・ラシュフォードがセンターフォワードから左ウイングにポジションを移す微調整を図っていた。

ただ、前半はチグハグだった。6分、ラシュフォードが強烈な右インステップでベティスGKクラウディオ・ブラーボの頭上を破ったが、その後は主導権を握れなかった。ヴェフホルストのボールコントロールが落ち着かず、ラシュフォードにもいつもの冴えがない。

また、ダビド・デヘアのキックがつねに不安定で、大ピンチを招くシーンが繰り返される。プレッシャーがかかっていなくても相手に渡してしまうのだから、テンハフの表情が曇るのは当然だ。

そして32分、アジョゼ・ペレスの完璧なコントロールショットで追いつかれたとき、四日前の悪夢が頭をよぎった者も少なくはないだろう。

こうした不安を一気に取り除いたのが、50分台の2ゴールである。

52分、アントニーが右サイドからカットインし、左足でシュート。名手ブラーボが反応できないような一撃。58分、ルーク・ショーの正確無比な左CKを、フリーになっていたB・フェルナンデスがヘディングで合わせた。

前半終了時に澱んでいたオールド・トラッフォードの空気が変わった。ポジティヴな歓声に後押しされたユナイテッドは、攻守とも連動がスムーズになっていく。ブラーボの好守によって2~3点は阻まれたものの、決定機も創った。

82分、スコット・マクトミネイのシュートがこぼれたところに、ヴェフホルストがつめて4-1。前半とは別人のような試合展開で、ユナイテッドはベスト8進出に大きく一歩前進した。

それにしても、テンハフは相変わらずマネジメントが巧い。リヴァプール戦と同じメンバーで臨んだのは、「おまえさんたち、本当の力とやらを見せてくれ」と発破をかけたのではないだろうか。アンフィールドで自嘲気味に口もとを緩めていた主力が、ベティス戦の後半では余裕の笑みをこぼしていた。

なにかにつけて消極的だったディオゴ・ダロに代え、後半開始からアーロン・ッワン=ビサカを投入したプランも見事の一語に尽きる。進境著しい右サイドバックは巧みな攻撃参加で心地よいリズムを刻み、献身的なフリーランニングでアントニーの魅力を存分に引き出した。

打つ手がすべてはまったテンハフは、アウェーの第二戦で主力を温存することも可能になった。ハムストリングに不安のあるラファエル・ヴァラン、ほぼほぼ皆勤のB・フェルナンデス、疲労の色が濃く、切り替えが鈍くなったラシュフォードあたりがラインアップから外れるかもしれない。

ELのベスト8進出が濃厚になったとはいえ、厳しい日程は今後も続く。やりくり上手のテンハフが1試合1試合、どのようなメンバー構成で臨むのか。残り3か月が非常に楽しみだ。

すでに獲得したリーグカップを含め、カップトレブルはまだまだ狙える。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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