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巨漢同士の激突、ミリトンvsボルハ・イグレシアス
ゴールはサッカーの華だ。だが、スコアレスドローの試合でも楽しめることを証明したのが、昨日(5日)のベティス対レアル・マドリーだった。
楽しめた理由の1つは、撃ち合いだったから。
0-0狙いでどちらも守備を重視して攻撃には力を割かない。10人で守って、攻撃は前線で孤島と化している唯一のFWにロングボールを放り込むだけ──こういう試合が一番面白くない。「引き分けで両者残留」という条件が付いた、シーズン最終節かその一つ前の節では、こんな退屈極まりない予定調和のスコアレスドローが起こることがある。
昨夜は違った。チームの設計思想に忠実に、両方とも点を取りに行き、互いのゴールの前まで迫る。が、そこで小さな選択のミス(シュートすべきところで撃たないとか)があったり、DFのスーパーなカットとかGKのスーパーなセーブがあったりしてゴールを割れない。
「ピンチの後にはチャンスあり」。相手に攻め込まれる=カウンターのチャンス。なので、押し込まれてもひるんではいけない。
残り15分間レアル・マドリーが攻め込む回数が増えたが、ベティスは守備的な交代を行わなかった。押し込まれたらカウンターで押し返すことで傾いたバランスを戻そうとした。優勝争いを続けるレアル・マドリーが攻め続けたのは道理だとして、実力差から考えて「引き分けOK」だったベティスが勇敢であり続けたのは称賛に値する。
「肉を切らして骨を断つ」という両者のプランが、シュート数で8(枠内4)対15(枠内5)、CK数で5対3、という数字に反映されている。
もっとも、一番の見ものはゴール前ではなく、その手前にあった。ボールロストをめぐるバトルである。これが素晴らしかった。
今のサッカーはロスト後に激しいプレスを掛けるのは常識になっている。なぜなら、ボールロスト後に再度ボールを奪い返せば、絶対的なチャンスになるからだ。
攻め込む→ボールロストする→相手がカウンターに出ようとする→その瞬間にプレスを掛けて奪い返す→逆を突かれた相手は戻れず、守備に穴が開く→乱れに乗じて一気に攻め切る。この「カウンターに出ようとする相手へのショートカウンター」が、今のサッカーでは一番成功率の高い得点法だろう。
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