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サッカー フットサル コラム 2023年3月1日

テンハフ監督はドレッシングルームの管理に長けている

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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カラバオ・カップ獲得したマンチェスター・ユナイテッド、エリク・テンハフ監督

カラバオカップでまず一冠

はっきり言って、わたしは浮かれている。2月26日の深夜はコンビニで酒とつまみを揃え、ひとりでささやかに祝杯をあげた。

だれがなんといおうと、多くのクラブが軽視するカラバオカップでも、れっきとしたタイトルだ。サー・アレックス・ファーガソン退任後、辛酸を舐めつづけたマンチェスター・ユナイテッドが、ついに復活の狼煙をあげた。

勝者のメンタリティを具現したカゼミーロとラファエル・ヴァラン、リーダーとしての自覚が芽生えたブルーノ・フェルナンデス、覚醒のマーカス・ラシュフォードなど、選手個々の活躍も復活の要因だが、やはりエリク・テンハフ監督の着任が大きな比重を占めている。

「メガクラブを率いた経験がなく、ユナイテッドのプレッシャーに耐えられるとは思えない」

イングランドのメディアは批判した。

「リサンドロ・マルティネス!? 175cmのセンターバックなんかプレミアリーグでは通用しない」

解説者のジェイミー・キャラガーは、テンハフ監督が高く評価するDFを笑い飛ばした。

プレッシャーに耐えられないどころか、ユナイテッドの指揮官は選手に愛され、信頼されている。「監督のおかげでわれわれ選手には自信が芽生えた。感謝するしかない」(B・フェルナンデス)

175cmのCBは、空中戦で190cmを超えるストロングヘッダーに引けを取らず、撃墜するシーンも多々ある。ジェイミー、ちゃんと見よう。

さて、テンハフ監督の長所にドレッシングルームの管理(マネジメント)が挙げられる。彼が就任するまでの5人は、揃いも揃って現場をまとめられなかった。

午前と午後の練習で発言内容が変わるデイヴィッド・モイーズは、だれにも信用されなかった。63歳で監督に就任したルイ・ファン・ハールはポゼッションに執着し、ジョゼ・モウリーニョは守備的すぎるアプロ―チが嫌われた。

また、オーレ・グンナー・スールシャールはポール・ポグバとクリスチャーノ・ロナウドに気を遣いすぎ、偉そうなラルフ・ラングニックは総スカンを食らった。

テンハフ監督の発言は終始一貫している。51歳とはいえ感覚が若く、カラバオカップの優勝セレモニーではL・マルティネス、アンソニーとともにダンスに興じた。フットボールのスタイルはつねに攻撃的だ。

さらに、クラブよりも個人を優先したC・ロナウドに厳しく接し、ミーティングに遅刻したラシュフォードには、ラインアップから外すペナルティを科している。

ベテランだろうがエースだろうが、特別扱いしないフェアな姿勢に選手たちが畏敬の念を抱いたからこそ、テンハフは監督就任後40試合目でタイトルを獲得できた、と考えられる。

現地時間3月1日は曲者ウェストハムとのFAカップ5回戦だ。週末はリヴァプールとのビッグファイトが控え、来週のミッドウィークにはベティスとのヨーロッパリーグ・ラウンド16がやって来る。ウェストハムに勝ってFAカップのベスト8に進出した場合、マンチェスター・ダービーが実現する可能性もある。休む間もなく試合は続き、心と体にダメージが蓄積する。

しかし、テンハフ監督のもと一体感にあふれるユナイテッドなら、最終盤まで世界中のサポーターを楽しませてくれるに違いない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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