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サッカー フットサル コラム 2023年1月6日

ニューカッスルの好調はもはやフロックではない!

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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スフェン・ボトマン(左)、エディ・エンケティア(右)

エディ・ハウ監督の補強は的中、スフェン・ボトマン

“北の名門” が復活した。

2021年10月7日、サウジアラビアの政府系企業『パブリック・インベストメント・ファンド』は、3億ポンド(当時のレートで約456億円)もの巨額でニューカッスルを買収した。

ゴシップによだれを垂らすイングランドのタブロイド紙はこの金額に飛びつき、「リオネル・メッシ、ネイマール、キリアン・エムバペ、クリスチャーノ・ロナウドなど、世界中のスーパースターを買い漁るのではないか」と書き立てた。

「メディアの皆さんがご指摘されるような補強は計画にありません。監督、強化担当セクションと協議し、適材適所で人選します」

株主のひとりで、スポークスウーマンの役割もこなすアマンダ・ステイブリーはメディアの過激な推測をスルーし、地道なクラブ運営をつねづねアピールしてきた。

この姿勢こそが、ニューカッスル好調の最大要因といって差し支えない。予算をふまえれば、ジョゼップ・グアルディオラやジョゼ・モウリーニョといったビッグネームの招聘も可能だったが、ニューカッスル上層部が新監督に選んだのはエディ・ハウだった。

前監督のスティーヴ・ブルースはだれもが認める好人物とはいえ、リアクション・フットボールしかできない。攻撃の方法論を持たず、選手個々のプレーエリアも極端なまでに低かった。

一方、ハウの基本は能動態であり、プレーエリアが高い。しかも、対戦相手が格上でもホームでは攻撃的な姿勢を貫いている。とくに3-3で引き分けた3節のマンチェスター・シティ戦は、ブルーノ・ギマランイスが巧妙でポジショニングでロドリを消し、ミゲル・アルミロンはジョアン・カンセロを牽制しつつ、ナタン・アケにもプレッシャーをかけ続けた。ブルース体制ではありえなかったスタイルだ。

また、ハウ就任後はB・ギマランイス、キーラン・トリッピア、ニック・ポープ、スフェン・ボトマンと、補強がことごとく的中している。4選手ともチームの実情に適した実力者だ。ジョエリントンをFWから中盤インサイドにコンバートし、彼の強靭なフィジカルを最大限に活かしたのもハウのアイデアだ。

今冬の市場でもウェストハムのハリソン・アシュビー、レアル・バジャドリーのイバン・フレスネダなど、将来有望なDFとGKの獲得を優先するという。ニューカスルにはビッグネームを買い漁るプランなど存在しない。

本稿執筆時点で公式戦は6試合連続無失点。8月30日のリヴァプール戦に敗れた後、プレミアリーグは8勝5分無敗。このなかにはチェルシー戦やトッテナム戦の勝利も含まれている。11失点はリーグ最少、32得点は5位タイ。攻守のバランスンも非常にいい。

ニューカッスルの好調は、もはやフロックではない。試合ごとの波が小さいため、シーズン前の予想を覆す大躍進……たとえばチャンピオンズリーグ出場権獲得の可能性も浮上してきた。

『アブダビ・ユナイテッド・グループ』が2008年に買収した後、マンチェスター・シティはプレミアリーグを制するまで3年かかった。リヴァプールのオーナー企業である『フェンウェイ・スポーツ・グループ』も、ユルゲン・クロップ監督がチームを完全に掌握するまで、やはり3年ほど辛抱している。

ハウが監督に就任したのは、一昨年の11月10日だった。まだ、1年半も過ぎていない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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