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サッカー フットサル コラム 2022年12月21日

アンチェロッティ退任後のマドリーにデシャンを推したい

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ディディエ・デシャン監督

フランス代表をひきいて10年半 ディディエ・デシャン監督

「監督の考え方しだいだ」

フランスの有力スポーツ紙『L‘EQUIPE』が論じている。

カタール・ワールドカップは惜しくも準優勝。4年前のロシア大会に続く連覇こそならなかったディディエ・デシャン監督を、フランス・サッカー連盟(FFF)は慰留するのか、あるいは「10年間お疲れさまでした」と笑顔で別れるのか。

代表監督という激務に10年半も耐えてきたのだから、デシャンもそろそろ休みたくなる。プレッシャーとはひとまず縁を切り、ご家族や友人とノンビリ暮らす時間も必要だ。

その一方で、FFFが慰留する可能性も捨てきれない。カタール大会ではカリム・ベンゼマ、ポール・ポグバ、エンゴロ・カンテといった主力を欠きながら、アルゼンチンをあと一歩のところまで追い詰めた。

ルカ・モドリッチ、イヴァン・ペリシッチ、ヨシュコ・グヴァルディオルが出場できなかったら、クロアチアは3位になっていない。リオネル・メッシとフリアン・アルバレス、エンソ・フェルナンデスを欠いていたら、アルゼンチンは優勝できただろうか。

したがってFFFが、「少なくとも二年後のヨーロッパ選手権まで」と、デシャンを引き留めることも十分に考えられる。

どちらかといえば無秩序な若者をまとめた。10年半に及ぶ在任期間でワールドカップはベスト8、優勝、準優勝。EUROは準優勝とベスト16。申し分のない好成績だ。デシャンの功績は計り知れない。

続投するのか辞めるのか。FFFは政治力を行使せず、稀代の名監督に考える時間を与えてほしい。

さて、ここからはあくまでも提案である。

デシャンは10年にわたってアウトプットしてきたのだから、インプットする時間を設けなくてはならない。そして心身ともにリセットしたあと、クラブチームの監督が望ましい。

祖国フランスのためにパリ・サンジェルマン? リーグアンは彼らの独占市場で刺激がなさすぎる。ユベントス? 2006年、レフェリーとの癒着や、移籍をめぐる不正経理でセリエB降格のペナルティを下された古巣を、デシャンを救っている。あれから16年、今度は帳簿の偽装が浮上した。火中の栗をふたたび拾う価値など、このクラブにはない。

また、バルセロナとデシャンはイメージが合致せず、マンチェスター・シティはジョゼップ・グアルディオラの、リヴァプールはユルゲン・クロップの地位が揺るぎない。さらに、アーセナル上層部はミケル・アルテタに全幅の信頼を寄せ、チェルシーはグレアム・ポッター、マンチェスター・ユナイテッドはエリク・ヘンハフのもと、中長期的な展望に基づく再建に着手したばかりだ。

こうして、選択肢が限られてきた。

デシャンの実績と名声を踏まえると、ぽっと出のクラブはふさわしくない。伝統と格式を兼ね備え、つねに世界のトップランナーとして君臨する名門こそが、新しいキャリアのスタート地点だ。

レアル・マドリーである。

カルロ・アンチェロッティ監督との契約は24年6月までだ。本人も契約延長はしないと語っているため、用意周到なフロレンティーノ・ペレス会長が次期監督をすでに物色していたとしても不思議ではない。

デシャンの履歴に『REAL MADRID』が加わるのだろうか。実にきらびやかだ。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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