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サッカー フットサル コラム 2022年12月6日

「ベスト8の壁」が立ちはだかる日本代表、だがこれからも挑戦は続く

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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2010年 南アフリカ・ワールドカップ スペイン代表 優勝

2010年にW杯初優勝、スペイン代表は黄金の4年間を過ごした

残念だが、日本がPK戦を制することができるまではまだ時間がかかる、ということだ。

スペインだってPK戦でも勝てると確信ができたのは、EURO2008でイタリアに勝ってから。それまでは「11メートルの呪い」と散々言われて、PK戦の度に悪い予感しかせず、予感的中で「またか……」とうなだれて帰って来ていた。

あのPK戦勝利後にEURO2008に優勝、続く2010年W杯に優勝、さらにEURO2012にも優勝した。

2008年までのスペインは日本のマスコミが言う「無敵艦隊」どころか、真逆の「有敵艦隊」だった。予選には強かったが本番にはからっきし弱く、毎度ベスト16やベスト8の壁に跳ね返されて帰って来ていた。弱かったのは本番だけでなく、ドイツ、イタリア、イングランド、フランス等の大国にも弱く、PK戦には特に弱かった。

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決勝トーナメントで大国との対戦が決まると、帰り支度をし始める主力選手がいた、というのは悲しい時代の実話である。

その負け犬の流れを変えたのが、あのイタリア相手にPK戦で勝ったことだ。あの時、もし負けていたらその後の世界制覇、欧州制覇はなかったと、確信している。

ネガティブな遺産はその後の世代にも間違いなく受け継がれ、勝負どころで必ず立ちはだかり、スペインの足を引っ掛けていたはずだ。

今、スペインがどの大会でも優勝候補に挙げられるのは、あの黄金の4年間のポジティブな遺産のお陰。よく考えると、最後に優勝して10年も経っているのだが、過去は変えられず、遺産は手つかずのままなのだ。

スペインの『マルカ』は「日本がハラキリをした」なんて敗退を「武士道」と結び付け、クロアチアGKをヒーローと祭り上げたりしている。

だが、日本が失敗した3本のPKはいずれも力がなく、GKのメリットというよりも、キッカーのデメリットというべきだろう。普段あんな力のないPKを蹴っているわけがない。

土壇場で、決めればベスト8で、日本中が見ている中で、平常心で蹴れなかったのだ。

GK権田が大会最高の出来で、日本にとっては狙っていただろうPK戦で、運良く日本応援団側のゴールに当たり、コイントスにも勝って有利な先攻を選べた。すべてがうまく回っているように見えたのだが……。

キッカーを責めているわけではない。多分、誰が蹴っても本来の力を出せなかったのではないか。

これで「ベスト8の壁」と言われ続けるのだろう。余計なプレッシャーが1つ加わったわけだ。

だが、スペインの例から言えば、壁は一度崩れたらガタガタとすべて崩れる。少しずつではなく一気に、栄光への道が開ける。気持ちが勝敗に与える影響はそれだけ大きい。

成功への近道はない。壁は日本を苦しませるだろう。

だが、壁に苦しまなかった王者はいないのだ。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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