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サッカー フットサル コラム 2022年12月2日

イングランドのピークはまだ先だ。機が熟すまで待てばいい

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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得点を喜ぶジョーダン・ヘンダーソンとマーカス・ラッシュフォード

得点を喜ぶジョーダン・ヘンダーソン(左)とマーカス・ラッシュフォード(右)

グループステージの原則は負けないこと──。

イングランド代表を率いるガレス・サウスゲイト監督の大原則だ。2018年ロシア・ワールドカップもEURO2020も、グループステージ(以下GS)は冴えなかった。それでも四年前はベスト4、EUROはファイナリスト。ともに、望外の成績を収めている。

したがって、カタール・ワールドカップのGS第2節、アメリカ戦で0-0のドローに終わっても、サウスゲイトはまったく慌てていなかった。

「勝点ゼロに終わったわけではない。プランから大きく外れた試合内容でもない」

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試合後の記者会見でも落ち着いていた。フットボールの母国がサッカーのアメリカに圧倒されたため、プライドを傷つけられたイングランドのメディアから感情的な質問も相次いだが、クールな姿勢はいっさい崩していない。

GSからラウンド16までは基本的に中三日。実に厳しいスケジュールだ。一戦必勝では心身ともにもたない。スローに入るところ、プレー強度を上げるところ、要するにメリハリが必要だ。

だからこそサウスゲイトは、アメリカ戦で無理をしなかったのだろう。GS第1節のイラン戦で6-2の勝利を収め、得失点差でも十分なアドバンテージを得ていた。軽率なエラーでも連続しないかぎり、3節のウェールズ戦でポイントを落とす確率は極めて低い。こうした慎重な考え方にのっとり、サウスゲイトはリラックスしてワールドカップを闘っている。

選手個々のコンディションも悪くない。ベン・ホワイトが個人的な事情でイングランドに帰国したとはいえ、9月に肩を手術したカルヴァン・フィリップスが、10月に右大腿部にメスを入れたカイル・ウォーカーがウェールズ戦で復帰。それぞれ持ち味を発揮した。

また、トレント・アレクサンダー=アーノルドも試運転に成功し、十分な戦力であることを改めて証明した。出場時間こそ短いものの、ジョーダン・ヘンダーソンはピッチに立つたびにプレー強度の重要性を具現している。

さらに、ウェールズ戦は3-0の勝利だけではなく、メイソン・マウント、ブカヨ・サカ、ラヒム・スターリンが完全休養。ハリー・ケインとデクラン・ライス、ルーク・ショーも途中交代するなど、ラウンド16以降も見据えた絶妙の選手交代にも成功している。底意地の悪いイングランドのメディアも、少しはサウスゲイトを認めた方がいい。

自国開催となった1966年のワールドカップ優勝を除き、イングランドはビッグトーナメントと縁がなかった。しかし、今回は期待を持てる。パワーを温存してGSを勝ち抜き、チーム全体のフィジカルは緩やかでありながら、力強い上昇曲線を描いている。

ピークはまだまだ先だ。機が熟すまで待てばいい。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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