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サッカー フットサル コラム 2022年11月16日

ユナイテッドとC・ロナウドは二度目の逢瀬も訣別を迎える

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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クリスチャーノ・ロナウド

美しい記憶に泥を塗ったC・ロナウド

完璧な監督が存在しないように、完璧な選手も現われはしない。

ヨハン・クライフやミシェル・プラティニ、ディエゴ・マラドーナ、マルコ・ファン・バステンはとくにすぐれた選手だったが、守備意識やメディア対応、プライベートには問題を抱えていた。

アレックス・ファーガソン、アルセーヌ・ヴェンゲル、カルロ・アンチェロッティ、ユップ・ハインケスといった歴代の名将たちも、幾度となく苦汁をなめている。

クリスチャーノ・ロナウドは、37歳になったいまも完璧を求めつづけている。日々節制に努め、「感染症になるリスクが大きく、子どもたちにもマイナスでしかない」と、タトゥーには否定的だ。

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そしてまもなく、彼自身5回目のワールドカップを迎える。依然としてポルトガル代表の命運を握る存在であり、出場した5大会ですべてゴールを決める前人未到の大記録も達成間近だ。

しかし、突如として怒りをぶちまけた。

「敬意を払わないエリク・テンハフを、なぜ信用しなきゃいけないのだ」

「マンチェスター・ユナイテッドには裏切られたよ」

「昨シーズンもわたしを追い出そうとした人間は何人もいる。ラルフ・ラングニック監督(当時)だけではなく、さらに上の人間もね。まるで厄介者のように扱われた。だいたい、ラングニックってだれなんだよ」

「サー・アレックス・ファーガソンが去ってから、なにも進歩していない。練習場の設備もテクノロジーも食事のメニューも、時間が止まっているような感じだ」

ピアス・モーガン(英国のジャーナリスト)のインタビューに応じたC・ロナウドは、ネガティヴな感情を次々と露わにした。

退団に向けた情報操作であることに疑いの余地はない。ユナイテッドで居場所を失ったため、既知のジャーナリストを利用してみずからの正当性を訴えた。しかも、無礼で強引すぎる内部批判を繰りひろげたのだから、罰金を伴う契約解除も覚悟できているはずだ。

クラブ側が「事実関係を明らかにしてから」と公式HPで平静を装っているとはいえ、容認するはずがない。法的措置を検討中とも伝えられており、関係修復はもはや不可能。早ければ今年中に、遅くとも来年1月には、C・ロナウドに対して三下り半をたたきつける公算が非常に大きい。

「サポーターにはいつも感謝している」

件の主役はこうも訴えているが、大衆はテンハフを支持しており、C・ロナウドはユナイテッドに刻んだ美しい記憶に泥を塗った。さらに、大恩のあるサー・アレックスを裏切り、同じ釜の飯を食った仲間たちをも傷つけたのである。

C・ロナウドのコメントが事実だとしても、オーナーのグレイザー・ファミリーがマーケティングで稼ぐことしか考えていないにしても、ここまでの怒りと不満を外部に漏らす必要はどこにあるのだろうか。

今シーズンのプレミアリーグで、彼が出場した試合は1勝1分2敗。欠場した場合(控えも含む)は7勝1分2敗。現実と発言の乖離ははなはだしい。不快感だけを残し、ユナイテッドとC・ロナウドは二度目の逢瀬も訣別を迎える。

アレハンドロ・ガルナチョという新芽はまばゆいばかりで、胸ときめくほどにかぐわしい。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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