人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2022年11月15日

ルイス・エンリケFC、スペイン代表への不安

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
  • Line
ワールドカップに向けてメンバーを発表したエンリケ監督

ワールドカップに向けてメンバーを発表したエンリケ監督

スペイン代表の26人が発表された。大きなサプライズはなかった。アスパスもカナーレスもセルヒオ・ラモスも選ばれなかった。一言にすると、“ルイス・エンリケらしさを貫いた”ということだ。

クラブでの出来を重視せず、控えであっても呼ぶ。自分の目指すスタイルに適さなければ、あるいはチームの輪を損ねる存在はレジェンドクラスでも呼ばない。

「ルイス・エンリケFC」とスペインメディアに呼ばれる軍団は、ボスがルイス・エンリケで選手が兵士。ボスが課したシステム([4−3−3])とボスが選んだスタイルーー【1】ボールを保持する【2】ラインを上げる【3】ボールロスト後に激しいプレスをするーーを、体力的にも精神的にも実行できる26人が選ばれた。

ルイス・エンリケFCゆえのメリットはある。

J SPORTS オンデマンド番組情報

戦術にブレや迷いがない。ほとんど同じメンバーでプレーしてきたから相互理解は代表レベルでは極限にまで高まっているだろう。忠誠心を誓った精鋭ゆえに油断や集中力を欠くことはなく自分本位のプレーに走ることはない。100%を代表に捧げる一体感のあるチームであることだろう。

W杯の上位対決は常にロースコアの接戦になるから、120分の延長戦であっても最後まで頑張れる、足を入れられるメンタルと体力、執念と信じる力のプラスαは、決して小さくない。カタールでは胸が熱くなる戦いをしてくれるはずだ。

だが、ルイス・エンリケFCにはデメリットももちろんある。

戦術的にはプランBもプランCもない。ボスが必勝と信じるプランAが通用しない場合、打つ手がほとんどない。CFはモラタ一人と心中、アセンシオやオルモやフェランの偽CFは機能した試しがない。絶対に点が欲しい時の、ロングボールの放り込みに強い選手やセットプレーで力を発揮する選手はボスが選んだ26人にはいない。

次に、点取り屋がいない。これは26人が今季いくつのゴールを挙げているかを集計すればすぐにわかる。日本のみなさんに知っておいてほしいのは、脅威になり得るアンス・ファティはトップフォームにないまま選ばれたこと。活躍できるか否かは、あくまで今後の仕上がり次第である。

ボスの選んだCBは、ラポルトを除けば対人の強度に問題がある。これはバルセロナでエリック・ガルシアがレギュラーになれないことを見れば明らかだろう。最終的にギジャモンが入り、イニゴ・マルティネスもディエゴ・ジョレンテも外されたことで、この弱点はより際立つことになった。

お気に入りを集めたことで、チームがもの凄く若くなってしまった。32代表のうち平均年齢は一番下かもしれない。柔らかい頭の方がボスの意が浸透しやすい、というのはそうだろうし、若い方が体力も気力もある、というのもそうかもしれない。

が、その反面、必ず陥る逆境でのリアクション力が気になる。キャプテンは大人しいブスケッツとコケ。異常な緊張感の下、ベンチからのボスの叫び声は耳に入るのだろうか?

ルイス・エンリケの挑発的な言動もあって、彼のチーム作り&選手選択には疑問を抱く者が少なくない。懐疑的な視線の強さは、アラゴネス時代、デル・ボスケ時代、ロペテギ時代にはなかったものだ。

よって、以前も書いたが、コスタリカ戦、ドイツ戦の結果次第ではファンとメディアを敵に回す完全アウェイで日本戦を迎えているかもしれないーーこれがルイス・エンリケFCへのもう一つの不安である。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ