人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2022年10月5日

ユナイテッドは惰眠を貪り、シティは真正面から強化に励んだ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
  • Line
この試合でも決定的な仕事をこなしたハーランド

この試合でも決定的な仕事をこなしたハーランド

現地時間10月2日のマンチェスター・ダービーで、ユナイテッドはシティに3-6の敗北。クオリティーの違いをまざまざと見せつけられた。

ジョセップ・グアルディオラ監督は7シーズン目、エリク・テンハフ監督は就任3か月でプロセスの初期段階。完成度は比較にならない。シティのケヴィン・デブライネ、アーリング・ハーランは規格外であり、彼らに匹敵する選手はユナイテッドに見当たらない。

また、的外れな強化が多いユナイテッドをあざ笑うかのように、シティはピンポイントの人選でありとあらゆるタイトルを狙う陣容を創りあげた。フアン・ソリアーノCEOとチキ・ベギリスタイン本部長を中心とし、グアルディオラも加わる強化体制は盤石だ。

J SPORTS オンデマンド番組情報

つねにリズムとピッチを維持できるベルナルド・シウバ、オフ・ザ・ボールの貢献度も非常に高いフィル・フォーデン、ビルドアップの起点であり、中盤の底でストッパーも兼ねるロドリ、ポジショニングが秀逸なジョアン・カンセロ、確実性に富むルベン・ディアス……。彼らはグアルディオラ体制が獲得、もしくは下部組織から育てた選手だ。

ここに、攻撃的、なおかつ暴力的なほど美しいパスでラインブレイクを図るデブライネ、信じがたい決定力を誇るハーランまで擁しているだから手がつけられない。

ローカルダービーの4点目も、このふたりにしかできない “スゴ技” だった。足もとに入りすぎ、普通であれば当たり損ねても不思議ではないボールをデブライネがラストパスに代え、走り込んだハーランドはミートポイントが少しでも狂えばゴールに飛ばなかったボールを、ピンポイントのハーフボレーで強烈に合わせた。年間最優秀ゴールにノミネート、いや、「決定」といって差し支えない衝撃的な1点だった。

一方、ユナイテッドの補強は失敗例が少なくない。スピード不足が懸念されていたハリー・マグワイア、精神的にムラがありすぎるポール・ポグバ(現ユベントス)、ピークを過ぎていたネマニャ・マティッチ(現ASローマ)だけではなく、アレクシス・サンチェス(現マルセイユ)もヘンリク・ムヒタリアン(現インテル・ミラノ)もアンヘル・ディマリア(現ユベントス)も、チームの足を引っ張るだけだった。

これもすべて、フットボール業界で信頼を得られなかったエドワード・ウッドワードを強化担当に据えた人事に起因している。オーナーのジョエル・グレイザーは、「大企業とのタイアップで巨万の富をもたらす」との理由でウッドワードを高く評価し、チームの実情にそぐわない選手を巨額で獲得しても首を傾げなかった。

フットボールではなく、ピッチ外のビジネス最優先。その代償が現在の大差である。

ユナイテッドが惰眠を貪っている間に、シティは真正面から強化に取りくんできた。08年夏に『アブダビ・ユナイテッド・グループ』が買収すると急成長。とくにグアルディオラが着任した16-17シーズン以降は、プレミアリーグを4回も制している。

ユナイテッドは17-18、20-21シーズンの2位が最高位で、チャンピオンズリーグの出場権を3回も獲得できなかった。ジョゼ・モウリーニョ→オーレ・グンナー・スールシャール→ラルフ・ラングニック……。監督の人選にも一貫性を欠いた。

それでもグレイザーはユナイテッドを買収した後、実に4億7500万ポンド(約745億円!)もの収入を得ている。みずからが背負った借財の影響で強化がままならなかった当時から現在まで、役員報酬や株式の配当を現場にはいっさい供給せず、すべて懐に収めていたのだから開いた口が塞がらない。ユナイテッドに対する愛情が1ミリも感じられないのだから、オーナーとして失格だ。

「一朝一夕にして縮められるような差ではない」

OBのリオ・ファーディナンドが絶望感を明らかにしたように、シティははるか彼方を走っている。もはや世界のトップランナーだ。

彼らにとってユナイテッドは、いまや “静かなる隣人” でしかない。グレイザーの罪はとてつもなく大きい。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ