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サッカー フットサル コラム 2022年10月4日

ソシエダ内で分かれた日本とスペインの明暗。ワールドカップでの日本の勝機?

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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ゴール後に仲間に祝福される久保

ゴール後に仲間に祝福される久保

ジローナ対ソシエダを見て、日本対スペインがまた楽しみになった。久保は1ゴール、1アシスト。出場9試合で2ゴール、3アシスト。スペインに来て最速のペースで数字を稼いでいる。もうほとんど“ボールくれよ”とアピールしたり、“ここに欲しかったのに”と残念がったりする姿を見なくなった。それだけ周りとの理解レベルが上がっているということだろう。

特にシルバとは完璧にわかり合えている。サイドに開き、パスを待つ態勢に入ると、相手のマークが外れるスペースとタイミングでボールが出て来て、久保は余裕を持ってシュートを撃てセンタリングを出せる。もちろん、ゴール前の狭く時間がない局面なのだが、彼の技術と状況判断力なら十分対応できる。

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一番の魅力がドリブル突破であることは疑いがないが、単独の技よりもコンビネーションの技ーードリブルで抜かなくていい、スルーを受けた時点で抜けているからーーで抜けた方が、ゴールとアシストは稼げる。

要は、今の久保は凄いが、周りが凄い中で凄い。

となると、ソシエダを離れて日本代表に入ると、どうなのか?という懸念も生まれるが、抜けた状態でボールをもらった時のプレーは久保の個の力量なので、今のレベルの高さには拍手するしかない。彼はクラブでできることのベストを尽くしている。後は日本代表の指揮官の問題で、久保の問題ではない。

W杯では、日本の前からプレスを掛ける守備はスペインのそれと同じなのでお互いを消し合う関係になる。プレスの重圧下での個と集団の技術の高さを競う形になれば、スペインの方が上だろう。久保はソシエダでの技術的優位を満喫できなくなる。

スペインにボールを持って前を向かれ背後のスペースを突かれると、致命的なピンチになる。これは日本にとっても同じで、ボールを持って前を向き背後のスペースを突けば、決定的なチャンスを作れる。ただ、技術で優位の方ーースペインーーが作るチャンスの数が、作られるピンチの数よりも多いだろう。

よって、久保ら日本のアタッカーはなかなか出て来ないが、出て来た時にはスペインゴールを脅かす、という展開が予想でき、チャンスとピンチの数の比較からスペインの方が有利、という結論が数学的に導かれる。

日本が勝つには、論理外の出来事、5回のチャンスを決められず1回のピンチで失点して、焦ったスペインの技術と判断のレベルが下がる、といったサプライズが必要で、それはサッカーでは珍しいことではない。

もう一つ、今のソシエダを見ると、ブライス・メンデスが9月の招集に呼ばれなかったのが残念でならない。技術と運動量を兼ね備え中盤に強度を与え、FKもミドルシュートも当たっている。今回のスペインはガビ以外のMFがもう一つ。日本にとっては脅威が一つ減った格好だ。

オヤルサバルのW杯行きもどうやら無くなった。代表ウィーク明けでベンチ入りどころかまだ全体練習にも加わっていない。本来なら大不振のフェランとサラビアに代わりレギュラーを張るところなのだが……。偽ウインガーのゲームメイカー&フィニッシャーであるソシエダのキャプテンの不在で、日本にとって脅威がさらに一つ減った。

久保の絶好調に日本代表を重ねてはいけないのだろうが、ソシエダ内では日本とスペインの明暗が分かれた。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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