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サッカー フットサル コラム 2022年9月28日

成績の良し悪しにかかわらず一年以内で解雇の憂き目に遭う

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ハビ・グラシア

18-19シーズンにワトフォードを指揮したハビ・グラシア

ユベントスは拙速な人事を好まない。

2010年1月にチーロ・フェラーラをアルベルト・ザッケローニに代えた後、シーズン途中に監督を解雇した例はない。

開幕から2勝4分1敗・8位と奮わない今シーズンも、マッシミリアーノ・アッレーグリが更迭される確率は高くない。

たしかに、パヴェル・ネドヴェド副会長はアントニオ・コンテ(現トッテナム・ホットスパー監督)の復帰を画策している。アッレーグリの求心力低下が否めないため、上層部がトマス・トゥヘル、もしくはマウリシオ・ポチェッティーノといったフリーの大物に、頃合いを見はからって接触を試みる、ともいわれている。

ただ、アッレーグリを解任すると違約金を含めて8000万ユーロ(約112億円)ほどのコストがかかり、トゥヘルやポチェッティーノなどの一流を招聘した場合は3500万ユーロ(約49億円)前後が必要とされる。

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2億5400万ユーロ(約355億6000万円)に達した昨シーズンの損失額も踏まえれば、アッレーグリ残留は妥当な選択と考えられる。

さて、オーナーの気分しだいで監督をコロコロ代えてきたのが、昨シーズンを最後にプレミアリーグからチャンピオンシップ(イングランド2部相当)に降格したワトフォードである。

今シーズン、就任したばかりのロブ・エドワーズのクビが早くも飛んだ。10節終了時点で3勝5分2敗。リーグ1(イングランド3部相当)のフォレスト・グリーンローヴァーズからやって来た39歳の指揮官は、よくやっていた。

やはり、オーナーのジャンパオロ・ポッツォは拙速だ。

ショーン・ダイシ→ジャンフランコ・ゾラ→ジュゼッペ・サンニーノ→オスカル・ガルシア→ビリー・マッキンレイ→スラヴィサ・ヨカノヴィッチ→キケ・サンチェス・フローレス→ワルテル・マッツァーリ→マルコ・シウヴァ→ハビ・グラシア→キケ・サンチェス・フローレス(再任)→ナイジェル・ピアソン→ウラジーミル・イヴィッチ→シスコ・ムニョス→クラウディオ・ラニエリ→ロイ・ホジソン→ロブ・エドワーズ……。

12年6月にクラブを買収した後、17人もの監督を起用している、在任期間の最長はゾラの一年七か月。19-20シーズンはグラシアを4試合で見限り、3年ぶりに呼び戻したフローレスを10試合であきらめ、残り2試合でピアソンのクビを切った。

グラシア以降の8名は成績の良し悪しにかかわらず、いずれも一年以内で解雇の憂き目に遭っている。ポッツォ体制下で18人目の監督となるスラヴェン・ビリッチが、年内で追われたとしても不思議ではない。

リヴァプールのユルゲン・クロップは7シーズン目、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラは6シーズン目を迎えた。ディエゴ・シメオネは12年にわたってアトレティコ・マドリーを率いている。

ポッツォは、監督の重責を理解していない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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