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サッカー フットサル コラム 2022年9月22日

フィリップス欠場のダメージはベリンガムが癒す

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ドルトムントのジュード・ベリンガム

ドルトムントのジュード・ベリンガム

マンチェスター・シティのカルヴィン・フィリップスが、現地時間9月15日の練習中に肩を負傷した。症状は思わしくない。完治には手術が必要といわれ、11月に迫ったカタール・ワールドカップの出場も難しくなってきた。

今シーズン、リーズからシティに移籍したフィリップスには、中盤のグレードアップが期待されていた。ボール奪取能力に長け、プレーエリアも非常に広い。決定的なパスも出せる。アンカーとして、インサイドハーフとして一級品であり、世界最高品質を誇るシティの中盤でも、十分に通用するはずだった。

フィリップスの欠場に伴い、ロドリ、イルカイ・ギュンドアン、ベルナルド・シウバ、ケヴィン・デブライネの負担が少なからず重くなる。フィル・フォーデンも含め、中盤の3ポジションを5人でまわすことは可能だとしても、シティのプレースタイルを踏まえるとひとりでも多くの選手が必要だ。

フィリップスの戦線離脱は、イングランド代表にもなんらかの変更をもたらすかもしれない。

デクラン・ライスとの連携は素晴らしく、EURO20の準優勝は彼ら中盤の活躍に負うところが大きかった。黒子に徹し、勝利のためなら汚れ仕事も厭わないフィリップスがいるからこそ、状況に応じてライスは相手陣内の深くに攻め入った。

いまのところ、フィリップスの代役は見当たらない。コナー・ギャラガーはフィリップスのような汚れ仕事も得意にしていない。ジェイムズ・ウォード=プラウズは守備が軽すぎる。

経験豊富なジョーダン・ヘンダーソンは頼りになるものの、ここ数シーズンは負傷が徐々に増えてきた。6月で32歳になり、一流アスリートとしての健康体を維持することは難しそうだ。

残された選択肢はただひとつ、ジュード・ベリンガムである。シティのジョゼップ・グアルディオラ監督、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督が絶賛し、すでにコンタクトを図ったとも噂される逸材だ。

中盤センター、アンカー、あるいはインサイドハーフとしても対応可能で、そのスケールの大きさは数年前から注目の的だった。早ければ来年1月の移籍市場で争奪戦が繰り広げられる可能性もある。

ポテンシャルは特大で、所属するドルトムントでも異彩を放っている。現時点ではフィリップス不在の穴を埋める一番手といって差し支えない。

8月に発表されたFIFAランキングで、イングランドは4位につけている。フォーデン、ハリー・ケイン、メイソン・マウント、ブカヨ・サカなど、ガレス・サウスゲイト監督が信頼する主力は今シーズンのパフォーマンスも素晴らしい。

現地時間23日のイタリア戦、ドイツ戦(ともにヨーロッパ・ネーションズリーグ)のイングランド代表から漏れたジェイドン・サンチョ、マーカス・ラシュフォードは、少なくともジャック・グリーリッシュより好調だ。攻撃陣は質量ともに申し分ない。

イングランド代表を率いるガレス・サウスゲイト監督も、難しく考える必要はない。中盤の問題は現有勢力で補える。

フィリップス欠場のダメージは、ベリンガムが癒す。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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