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サッカー フットサル コラム 2022年8月10日

フレッジとマクトミネイを同時に起用するのはもはや犯罪だ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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相手から激しく寄せられるマクトミネイ

極めて不愉快なスタートである。

現地時間8月7日、本拠オールド・トラッフォードにブライトンを迎え撃ったマンチェスター・ユナイテッドは、1-2で新シーズンの初戦を落とした。

プレシーズンマッチで好調だったアンソニー・マルシャルが、開幕節の二日前にハムストリング痛を訴えた。退団を申し出たクリスチャーノ・ロナウドは、心身ともに準備不足だ。

したがってエリク・テンハフ監督は、クリスチャン・エリクセンを偽9番に起用する奇策を選択した。

発想としては悪くない。エリクセンが中盤に降りてきて、ブルーノ・フェルナンデスとともにゲームを創る。「キックの精度が高い両者であれば数多くのチャンスを創れるに違いない」。オールド・トラッフォードは期待に満ちあふれていた。

しかし、エリクセンが空けたスペースにだれも入ってこない。

また、フレッジとスコット・マクトミネイはサポーターの失笑とため息を誘うようなパスミスが少なくなく、プレスをかけられると即パニックに陥る。昨シーズンから、いやいや、この2~3シーズンほど欠点が改善できていない。

「彼らを同時に起用するのはもはや犯罪だ。ひとりだってリスクが大きすぎる」

OBのポール・スコールズが嘆いたのは当然だ。

とくにマクトミイはフリーでもすぐそばの味方にパスを届けられなかったり、拙い状況判断でボールロストを繰り返したり……。さらにスプリントも怠るなど、チームに迷惑をかけまくっていた。レッドカードを提示されてしかるべきラフプレーも看過はできない。

後半、エリクセンをアンカーに置き、C・ロナウドをトップに配してからは落ち着いた。エリクセンの巧みなボールさばきからルーク・ショーとディオゴ・ダロトが大外を活用し、右ウイングのジェイドン・サンチョは少し内側で攻撃に絡んだ。C・ロナウドはその存在だけで数人のマーカーを引きつける。

後半のユナイテッドは、主導権をつかんで離さなかった。

ただ、前半に飛ばしすぎたブライトンの運動量が、極端に落ちたことを忘れてはならない。適性は二列目中央、もしくは中盤インサイドのエリクセンが、強豪と対戦した際にひとりでアンカーを務められるほどの守備力を有しているのか、という疑問も生じる。

しかも、中盤センターの質は数年前から問題視されていたにもかかわらず、ユナイテッドは放置してきた。今夏もフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)との交渉に15週間も要し、結局は取り逃がす公算が非常に大きくなっている。

シーズンは始まったばかりだ。ブライトン戦の敗北は取り返せるかもしれないが、昨シーズンとどこが変わったのか。相手陣でボールを奪われると防ぐ手段を持たず、ロングカウンターをいとも簡単に許す。せっかくのチャンスをくだらないミスで潰す。読み・予測が甘く、ボールの落下点にたどりつけない。

見てきた風景ばかりだ。

元キャプテンのロイ・キーンが悔しそうに吐き捨てた。

「被ポゼッションのケースではどのチームよりも劣る」

試合終了後、オールド・トラッフォードにブーイングが鳴り響いていた。テン・ハフ監督が「失敗から学ばなければならない」と語ったものの、フレッジとマクトミネイをはじめ、昨シーズンまでと同じようなミスを繰り返していた。

変わらなければ、勝てない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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