人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2022年7月29日

試合を動かした“ジョーカー”【インターハイ準決勝 帝京高校×昌平高校 マッチレビュー】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
  • Line

結果が出るか、出ないかは、ふたを開けて見なければわからない。選手たちを一番近くで見続けてきた指揮官の決断が、あくまでもこの日は結果に繋がらなかったというだけのことだ。

取材エリアには、松葉杖を突いた津久井が現れた。「自分は試合に出れないので、勝てればいいなと思っていたんですけど、負けると凄く悔しくて、あの時あんなケガしなければよかったって思ってしまいます……」と涙を浮かべながら話したキャプテンは、チームメイトから掛けられた言葉を教えてくれた。

「『ごめんね』って言われました。『ごめんね』なんて言われたら泣いちゃうじゃないですか。だから、まだ言葉は返せていないですけど……」。飲水タイムにはベンチの前まで出てきて、選手にボトルを渡していた津久井の姿が印象深い。そんなキャプテンの姿を見たチームメイトは、下級生は何を感じたか。昌平がチームとしてこの敗戦からどう成長していくのか、今から楽しみだ。

勝った帝京も選手層はとにかく厚い。プリンスリーグに出場していた選手で、この大会のメンバーに入れず、東京に残っている実力者も決して少なくない。試合後の取材でそんな選手名を挙げていた日比監督は、「ここに来れなかった選手も……、選手選考は厳しかったですね。残っているメンバーに対しては申し訳ない……」と呟いて、声を詰まらせた。

準々決勝でも、準決勝でも、キャプテンの伊藤はそんな彼らに想いを馳せ、感謝を口にし続けている。「試合が終わるごとに、東京に残っている仲間たちから『勝ってくれてありがとう』とか、『カッコよかった』とか言ってもらっているんです。本当にサッカーを本気でやっている仲間に感謝されることは嬉しいですし、本気で応援してくれる仲間がいるので、中途半端な試合はできないですし、『みんなの分も戦ってきたぞ』と胸を張って言える結果を出せるように、頑張りたいですし、優勝報告だけをしたいです」。

名門のカナリア、復権へ。勝てば20年ぶりとなる日本一を懸けた一戦で激突するのは、プレミアリーグEASTでも上位に付けている上州のタイガー軍団・前橋育英高校。最後を飾るにふさわしい強敵だ。伊藤の、そしてチームメイトの優勝報告は果たして叶うのか。その答えは、もうすぐ出ることになる。

帝京も、昌平も、持てる力をすべて出し尽くし、チームとして戦った。真夏の徳島で意地をぶつけ合った関東勢同士のセミファイナル。勝利だけを目指し、灼熱のピッチを走り続けた両者に、心から拍手を送りたい。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ