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サッカー フットサル コラム 2022年6月22日

クロップのもとで研鑽を積むか、より多くの実戦を望むか

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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FAカップ優勝にも大きく貢献した南野

FAカップ優勝にも大きく貢献した南野

【1位】モハメド・サラー
31得点・15アシスト/46回

【2位】ディオゴ・ジョタ
21得点・6アシスト/27回

【3位】サディオ・マネ
23得点・2アシスト/25回

【4位】トレント=アレクサンダー・アーノルド
2得点・18アシスト/20回

【5位】アンディ・ロバートソン
3得点・15アシスト/18回

【6位】ロベルト・フィルミーノ
11得点・5アシスト/16回

【7位】南野 拓実
10得点・1アシスト/11回

【8位】ルイス・ディアス
6得点・4アシスト/10回

公式戦63試合のデータである。2021ー22シーズンのリヴァプールにおける攻撃の貢献度を表すもの、といって差し支えない。

さすがのサラーは全ゴール144の約32%を占めており、A・アーノルドとロバートソンの両サイドバックも、相変わらずアシスト数が高い。また、ディアスはわずか5か月で10回も得点に直接関与していた。新シーズンは倍増、いや、3倍増も十分に考えられる。

さて、南野だ。

出場機会がカップ戦にほぼ限定されながら、7位は見事というしかない。

「序列が低い」とか「成長していない」とか、いろいろ批判も聞こえてくるとはいえ、前線の選手層が厚いリヴァプールで10得点・1アシスは、胸を張っていい。

「タキ(南野の愛称)はシャドーか8番が適性」

ユルゲン・クロップ監督は、ライン間のポジショニングとプレーの連続性が南野の強みであることをよく理解している。

しかし、新シーズンの序列が急激に上がるわけではない。マネがバイエルン・ミュンヘンへの移籍が決定的になったものの、代わってベンフィカからダルウィン・ヌニェスがやって来た。出来高を含めて8800万ポンド(約140億円)もの巨額を投じたため、実力を試す意味でもある程度のチャンスが与えられるに違いない。

したがって、南野の序列は相変わらず五~六番手だ。マネだけではなく、ディボク・オリギも退団。前線の選手層は少しだけ薄くなったが、定位置獲得は至難の業だ。

あとは考え方次第である。限られるチャンスを甘受し、クロップ監督のもとでさらなる研鑽を積むか。定位置が約束されたクラブでマッチフィットネスを整えるか。

いま、リーズやフラム、サウサントンが南野を欲しているという。リーグアンのASモナコとリヨンが興味津々との噂があり、さらにセリエAからはインテル・ミラノ、ラツィオ、アタランタが争奪戦に加わったと報じられている。

『Liverpool Echo』によると、南野の移籍金は1700万ポンド(約27億円)。プロである以上、求められるうちが花だ。推定7万5000ポンド(約1200万円)いわれる週給を踏まえると、プレミアリーグ勢が有利か。複数のメディアが報じた「モナコと合意」に関し、現地時間6月21日時点で公式発表はされていない。

南野がリヴァプールに残留したとしても、筆者は「いい根性をしているな」と納得する。世界の超一流に囲まれ、フットボールに汗を流す毎日は至福のときだ。

しかし、ことし11月にはカタール・ワールドカップが開催する。マッチフィットネスを整えるには実戦の時間が必要であり、リヴァプールではチャンスが限られる。『Liverpool Echo』は「エージェントが複数のクラブと交渉している」と、移籍を示唆していた。

南野は難しい決断を迫られている。後悔のない道を選んでほしい。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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