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サッカー フットサル コラム 2022年4月27日

再建のためには大幅刷新!すべてを見直さなければならない

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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失点後にうなだれるマグワイア

失点後にうなだれるマグワイア

【1】支給された社用車を利用すること
【2】試合後20分はスマホに触れてはならない。食事中、マッサージ中も禁止
【3】選手のSNSはつねにクラブが監視している
【4】派手なデザインのアクセサリーは禁じる
【5】タトゥーは基本的に禁止。すでに入っている者は新しく彫らないこと
【6】アルコールは極力控える
【7】暴力的なゲームは禁止。そのほかの類でも興じる時間はほどほどに
【8】年俸の上限は300万ユーロ(当時のレートで約3億4200万円)
【9】オフシーズンに体重が1kg以上増えた場合、100gごとに5ユーロ(約570円)の罰金

スポーツディレクターのラルフ・ラングニック(現マンチェスター・ユナイテッド暫定監督)とラルフ・ハーゼンヒュットル監督(現サウサンプトン)は、2016-17シーズンのライプツィヒに厳しい縛りを課していたという。

その甲斐あって大躍進。ブンデスリーガではバイエルン・ミュンヘンに次ぐ2位という好成績を収めると同時に、創設9年目でチャンピオンズリーグ出場権も手に入れている。

ラングニックは厳格で知られている。当時のライプツィヒは無名の選手も多かったため、堅苦しい縛りも受け入れられた。将来への布石、と捉えた若者も少なくはないだろう。しかし、この感覚をマンチェスター・ユナイテッドに当てはめようとしていたのなら大問題だ。

大半の主力がマイカーを、しかも高級車を所有している。ポール・ポグバは何度も何度もヘアスタイルを変えながらファンとメディアを楽しませ、ファッションは基本的に派手だ。

感染症のリスクを抑えるためにもタトゥーは入れるべきではないが、家族への感謝を文字にして捧げるケースもある。

ジェシー・リンガードやフィル・ジョーンズなど、出場機会が少ない選手でも年俸は390万ポンド(約6億2400万円)で、ハリー・マグワイアは毎試合のように肥えていく。

ラングニック着任後、ユナイテッドはほんの一瞬だけモダンフットボールを見せた。4-2-2-2を基本陣形とし、ボールロスト後のプレッシングを肝とする即時奪還。しかし、シーズン途中の導入が難しすぎたのか、ラングニックが厳しすぎたのか、選手がぬるすぎるのか。いや、そのすべてだ。

クリスチャーノ・ロナウドは、モダンフットボールを実践するには歳をとりすぎている。アントニー・マルシャル(1月からセビージャにローン移籍)は激しいスタイルを好まず、ポグバが6月30日に終了する現行の契約を更新するとは思えない。ネマニャ・マティッチは「今シーズン限りで退団する」と明言した。

ラングニックは軟化し、4-2-2-2でも4-3-3でもなく、選手たちが慣れ親しんでいたはずの4-2-3-1も採用したが、大半の選手がスプリントを怠っているのだから手の施しようがない。

ラングニックも記者会見で個人名を挙げて批判するなど、人心掌握の失敗を露呈した。公の席で責められたヴィクトル・リンデレフやハリー・マグワイアが、今シーズン限りで退任する暫定監督に従うはずがない。

現地時間4月21日、ユナイテッドは来シーズンからエリク・テン・ハフ(現アヤックス)が新監督に就任すると発表した。戦術の基本はハイプレス。現有勢力には適していない。再建のためには大幅に刷新するべきだ。組織力、指導力、プライドを含めた選手の能力など、すべてを見直さなければならない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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