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サッカー フットサル コラム 2022年4月20日

強かったころのユナイテッドはプライドを持って闘っていた

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ベッカムの背中に乗りゴールを喜ぶロイ・キーン

戦略・戦術、運動量、実行力。もう、なにもかも違いすぎる。そして、物事を成し遂げる際に必要不可欠な強い意志。マンチェスター・ユナイテッドはまたしても、リヴァプールとの大きすぎる差に愕然とした。

基本陣形は5-4-1。低く構え、失点のリスクを抑えるプランだった。しかし、リヴァプールが誇るアンディ・ロバートソン、トレント・アレクサンダー=アーノルドの大外アタックを封じる術がない。

チアゴ・アルカンタラとファビーニョに対するマークも緩く、なおかつ動き出しでつねに後れを取るため、あちらこちらでズレが生じる。まるで大人と子ども。アンフィールドで観戦するサー・アレックス・ファーガソンの表情が強張り、ケニー・ダルグリッシュは微笑んでいる。

キャプテンのハリー・マグワイアは劣勢のチームを鼓舞する素振りすら見せず、最終盤に投入されたハンニバル・メイブリが危険なファウルを繰り返しても、「落ち着け」と諭したのはサディオ・マネだった。

エディンソン・カバーニとフレッジ、ルーク・ショーを負傷で欠いていた。家族に不幸があったため、クリスチャーノ・ロナウドはベンチから外れていた。たしかにユナイテッドはベストメンバーではなかった。いや、彼らが健在でも勝てなかっただろう。リヴァプールとのレベル格差は歴然としており、一朝一夕にして詰められる距離ではない。

なにしろ、昨年10月の0-5に続き、今回は0-4の屈辱だ。トップリーグでは68勝50分60敗と、通算成績ではユナイテッドが若干リードしているとはいえ、2試合合計0-9のダブルは過去に一度もない。いわゆるワーストだ。

また、2017-18シーズンにホームで2-0の勝利を飾った後、対リヴァプール戦は0勝3分5敗。苦手意識も芽生えているに違いない。

『sky sports』で解説していたロイ・キーンも、古巣の現状を憂えていた。

「リーダーがいない。クオリティも不足している。選手だけではなく、上層部も混乱している。新しい監督と、よりランクの高い選手が必要だ」

「これがユナイテッドなのか、私が情熱を注いできたクラブなのか。だれひとりとして、プライドを持って闘っていないではないか。ユナイテッドのためにすべてを捧げる男がいないではないか。試合後のインタビューも喜怒哀楽が感じられない。まるでロボットが話しているようだ。悲しい、悲しすぎる」

キーンの言葉を借りるまでもなく、強かったころのユナイテッドは全選手、監督、コーチ、スタッフがプライドを持って闘っていた。キーン、ギャリー・ネヴィル、リオ・ファーディナンドなど、頼れるキャプテンが睨みを利かせていた。

この姿勢は名門だけに許された特権であり、いま、リヴァプールはジョーダン・ヘンダーソンとジェイムズ・ミルナーが、レアル・マドリーはルカ・モドリッチとカリム・ベンゼマが、偉大なる先達の強い意志を若手に伝承しようとしている。

ユナイテッドはすっかり落ちぶれてしまった。それでもオーナーのグレイザー・ファミリーは、さしたる危機感を抱いていないという。しばらくの間、トップステージに返り咲く日は訪れそうにない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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