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サッカー フットサル コラム 2022年4月1日

ユナイテッドが玉座から引きずり降ろされて10年・・・

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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試合に敗れてうなだれる選手たち

試合に敗れてうなだれる選手たち

マンチェスター・ユナイテッドは、ブルーノ・フェルナンデスとの契約を2027年6月末日まで延長した。めでたし・めでたし──。

間違いなく朗報だ。昼間から祝杯をあげたくもなる。きつめの一杯としゃれこもう。盆と正月が一緒に来たような(表現、古っ!)賑わいだ。

しかし、B・フェルナンデスとの契約延長をもってしても、失われた時間を取り戻すことは難しい。完全復活までには長い長い時間を要するに違いない。

そもそも、ユナイテッドは時代後れだった。戦略・戦術、スカウティングといった強化に必要なキーワードを疎かにしたまま、サー・アレックス・ファーガソンの類稀なマネジメントに依存していた。

しかも、彼の後を継いだデイヴィッド・モイーズは戦略・戦術を持たず、ファーガソンが構築したスカウト網まで引き裂いた。いま、ウェストハムで復調著しいものの、ユナイテッドを率いていた当時のモイーズは、ダメ監督の典型だったのである。

また、ルイ・ファン・ハールのポゼッションは選手に受け入れられず、ジョゼ・モウリーニョは傲慢だった。そしてオーレ・グンナー・スールシャールは、ゲームプランの乏しさによって求心力を失った。

マンチェスター・シティはジョゼップ・グアルディオラが率いている。リヴァプールの指揮官はユルゲン・クロップだ。監督の人選を踏まえれば、両チームとの差が大きく開いたのは至極当然である。

ユナイテッドはスカウティングのレベルでも目を覆いたくなる。なぜエドワード・ウッドワード(前CEO)が担当していたのだろうか。ビジネスの手腕にすぐれ、大手企業とのスポンサー契約によって巨万の富をもたらした貢献者だが、フットボールの業界では素人。移籍市場で顔が利かない。

シティはCEOのフェラン・ソリアーノとディレクターのチキ・ベギリスタインが、強化を取り仕切っている。彼らはバルセロナ在籍時からヨーロッパ全体に厚く、太いコネクションを築いてきた。

リヴァプールのディレクターを務めるマイケル・エドワーズは、選手の潜在能力を見抜く独特の嗅覚を有している。アンドリュー・ロバートソン、モハメド・サラー、フィルジル・ファン・ダイク、アリソン、南野拓実、ディオゴ・ジョタなど、エドワーズが関わった補強は成功例が非常に多い。

監督とフロントの力量で劣るユナイテッドが玉座からあっさりと引きずり降ろされ、まもなく10年を迎える。莫大な補強費も使い方を誤り、ハリー・マグワイアに約108億円も投じる信じがたいミスまで犯した。ファン・ダイク(リヴァプール)は約101億円。ルベン・ディアス(シティ)は約84億円……。

「ユナイテッドは金儲け優先。フットボールは二の次」

ファン・ハールの批判に耳を傾けなければならない。シティとリヴァプールがどのようにして今日の地位を築いたのか、両チームの方法を研究しなければならない。

過去の栄光にすがるだけでは、いつまで経っても停滞、もしくは後退するだけだ。改革には痛みも伴う。この際、大胆なプランが必要だ。

組織としての在り方を改めない限り、新監督がエリク・テン・ハーグ(現アヤックス)だろうがマウリシオ・ポチェッティーノ(現パリ・サンジェルマン)だろうが、この先も辛酸を舐める覚悟をした方がいい。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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