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サッカー フットサル コラム 2022年3月11日

フットボールのクラブは文化財であり、地域コミュニティーの中心だ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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メイソン・マウント

メイソン・マウント

前オーナーのロマン・アブラモビッチがプーチンに出資していたため、チェルシーには根も葉もない噂がついてまわっている。

日本のワイドショーでも正義感気取りのコメンテイターとやらが批判を繰り返すが、アブラモヴィッチの出処進退は正しく報じるべきだ。彼は幼いころに両親を亡くし、施設で育っている。新興財閥の家庭には生まれていない。

さて、現地時間3月10日、英国政府はアブラモヴィッチの資産を凍結した。このペナルティーに伴い、チェルシーはチケットやグッズの販売、選手との契約更新も禁じられた。現行の契約が6月30日に満了を迎えるアンドレアス・クリステンセンとセサル・アスピリクエタ、アントニオ・リュディガーの退団は濃厚といって差し支えない。

また、契約更新の禁止はここまで進めてきた補強プランがご破算になることを意味し、ジョルジュ・メンデスやミーノ・ライオラといった凄腕だけではなく、ありとあらゆるエージェントがチェルシー案件から撤退せざるをえない。

ただ、ウェストロンドンの強豪はOWN BRANDの若手を数多く育ててきた。メイソン・マウント、リース・ジェームズ、カラム・ハドソン=オドイ、さらにトレボ・チャロバーは、トップチームでも重要な戦力だ。

FAカップ5回戦のルートン戦でセンターバックの素養を披露したルベン・ロフタス=チークも、ユース機関で基礎技術を磨いた。

「ルベンはわたしの期待に応えてくれた。フィードの質が高く、ドリブルで何枚もはがせる。われわれが求めているタイプのセンターバックだ」

トーマス・トゥヘル監督もロフタス=チークを高く評価していた。

また、指揮官はローン移籍中の選手も入念にチェックしており、コナー・ギャラガー(クリスタルパレス)とアルマンド・ブロヤ(サウサンプトン)の復帰を示唆していた。

「来シーズン、コナーは中盤の一角に割って入る公算が大きい。アルマンドはロメル・ルカクとポジションを争うかもしれない」

今シーズン、両選手ともにローン先でブレイクしており、層の厚いチェルシーでも定位置を奪えるまでに成長している。とくにギャラガーは攻守ともに凄みを増し、イングランド代表のガレス・サウスゲイト監督が、「楽しみで、頼もしい逸材」と目を細めるほどだ。

ともすればビッグネームの獲得に巨額を注入するイメージの強いチェルシーだが、若手育成にも余念がなかった。この事実にも、われわれフットボール関係者は目を向けなければならない。

英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省のナディーン・ドリス大臣はこう言った。

「フットボールのクラブは文化財であり、地域コミュティーの中心でもある。英国政府はプレミアリーグと協力し、チェルシーがフットボールを続けられるために全力を尽くす」

今回のコラムで取り上げた選手たちは大半が1999年から2001年に生まれ、ロフタス=チークもまだ25歳だ。英国政府には、未来ある若者たちを守る責任がある。

プーチンと親しかったのは、あくまでもアブラモヴィッチだ。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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