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サッカー フットサル コラム 2021年11月4日

次々に突きつけられる厳しいデータ。サント解任は避けられなかった

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ヌーノ・エスピリト・サント監督

ヌーノ・エスピリト・サント監督

トッテナムの決断は素早かった──。

10節のマンチェスター・ユナイテッド戦で0-3の惨敗を喫した二日後に、ヌーノ・エスピリト・サント監督を解任した。

在任期間はおよそ4か月。早すぎるかもしれない。「もう少しだけ時間が欲しかった」と、サントはほぞを噛んでいるかもしれない。ただし、トッテナムはほとんど機能せず、6節のノースロンドン・ダービーも0-3の屈辱を味わっている。

マンチェスター・シティへの移籍が失敗に終わった影響なのか、ハリー・ケインは精彩を欠いたままだ。復活を期したデレ・アリも動きが悪く、チーム全体のパフォーマンスも消極的だ。

10節終了時点のゴール期待値は1・05で下から4番目。9ゴール、チャンスクリエイト71回はワースト2。シュート総数103本は最下位。マイボールになってもラインを上げず、失点を恐れるような展開に終始している。

当然、サポーターに支持されるはずがない。10節のユナイテッド戦では、懸命に闘っていたルーカス・モウラに代えてステフェン・ベルフバインを投入。謎が過ぎる選手交代に、本拠トッテナム・ホットスパー・スタジアムは大ブーイングに包まれていた。

さらに9節終了時点でも、走行距離はリーグワーストの901・39km、ふたり以上でプレッシングを仕掛けた回数はワースト2の146回と、言い訳が許されない厳しいデータがサントの前に次々と突きつけられた。

しかし、彼に全責任があるわけではない。ダニエル・レヴィ会長とディレクターのファビオ・パラーティチは、もともとサントを高く評価していなかった。優先順位の高かった候補者に断られたり、パラーティチが交渉の手順を誤ったりした結果、残ったのはサントただひとり。いうなれば妥協の産物だ。監督決定のプロセスにおいて、トッテナム上層部は重大なミスを犯していたのである。

今回だけではなく、レヴィが会長に就任した2001年2月以降、監督の人選に関しては迷走を続けている。

グレン・ホドル、ジャック・サンティニ、マルティン・ヨル、ファンデ・ラモス、ハリー・レドナップ、アンドレ・ヴィラス=ボアス、マウリシオ・ポチェッティーノ、ジョゼ・モウリーニョ……。及第点は攻守を建て直したヨル、チャンピオンズリーグ準優勝に導いたポチェッティーノのふたりだけだ。サンティニはおよそ5か月で解任された。レドナップはユーモアとウィットに富んだ発言で、メディアに歓迎されたにすぎない。

こうした紆余曲折を経て、トッテナムの新監督にアントニオ・コンテが就任した。実績は申し分ない。この夏、レヴィが第一候補に挙げて交渉した経緯があり、勝利の方法論を熟知する名将だ。

しかし、さしものコンテをもってしても、シティ、リヴァプール、チェルシーとの間に存在する大きな差を、一朝一夕にして埋めるのは至難の業……いやいや、不可能だ。

はたしてレヴィは、コンテをどこまで信じられるだろうか。コンテは、大幅な補強をリクエストするに違いない。双方が歩み寄るとは思えないのだが……。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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