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サッカー フットサル コラム 2021年10月8日

ニューカッスルの新オーナーには大きな疑問符が付いてまわる

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ニューカッスル

買収されることが決定したニューカッスル

ニューカッスルの買収がようやく完了した。

現地時間10月7日、クラブの公式サイトでも次のように発表されている。

「パブリック・インヴェストメント・ファンド(PIF)を主導とし、PCPキャピタル・パートナーズ、およびRBスポーツ&メディアで構成される投資グループによる買収である」

2020年4月以降、ニューカッスルとの急接近が伝えられてきた『PIF』は、サウジアラビア系の投資ファンドグループだ。プレミアリーグの放映権を侵害したり、女性やLGBTを差別したり、なにかとトラブルも多い。ムハマド・ビン・サルマン会長は、18年にトルコで起きたサウジアラビア人記者の殺害に、「深く関与していた」との疑いまである人物だ。

今回、ニューカッスルを3億ポンド(約450億円)で買収したとはいえ、「はたしてプレミアリーグのオーナー企業としてふさわしいのか」という大きな疑問符が付いてまわる。

さて、強化を怠ったマイク・アシュリー前オーナーに代わり、『PIF』は潤沢な資金を有している。前述のサルマン会長(サウジアラビア皇太子でもある)は総資産130億ポンド(約1兆9500万円)。ニューカッスル・サポーターは、ドリームチームの誕生を期待しているに違いない。

しかし、マンチェスター・シティのようにはうまくいかないだろう。彼らが『アブダビ・ユナイテッド・グループ』に買収された08年、ファイナンシャル・フェアプレーというルールは設けられていなかった。一朝一夕にして戦力増強、CL出場権獲得→リーグ優勝は不可能だ。

また、再建にふさわしい監督も在野には見当たらない。アントニオ・コンテの希望は世界ブランドのメガクラブだ。ヨハヒム・レーブはしばらくの間オフを楽しむ予定であり、ジネディーヌ・ジダンやエルネスト・バルベルデといったフリーランスの大物も、ニューカッスルより上位のクラブで空きが出た場合は虎視眈々、との噂がもっぱらだ。

もちろん、スティーヴ・ブルース現監督の立場は危うい。消極的すぎるゲームプランは3ポイント獲得が難しく、『PIF』のお気に召すとは考えにくいからだ。しかし、明るい未来が約束できる新監督候補を、どのようにして探し当てるのだろうか。

アシュリー買収後の14年間は二度の降格も含め、散々の出来だった。5位に食い込んだ2011ー12シーズンを除き、大半をボトム10で終わっている。したがって、サポーターにすれば『PIF』は救世主であり、シティ、チェルシー、リヴァプールに並ぶ優勝候補といわれるようなチームがまもなく、と幻想も抱きたくなる。

1990年代中期、ニューカッスルは何度となくプレミアリーグ制覇に近づいた。ケヴィン・キーガンに率いられた95-96シーズンは、最終盤でアレックス・ファーガソン(マンチェスター・ユナイテッド監督/当時)のマインドゲームにしてやられたものの、シーズン全体のパフォーマンスでは上まわっていた。

ボビー・ロブソンのもと、90年代後期から2000年代前期はヨーロッパのカップ戦で常連だった。肉を切らせて骨を断つ作戦は、リスキーだとしても多くのサポーターに愛されていた。

夢よ、もう一度──。

ニューカッスル・サポーターの熱さはリーグ随一だ。『PIF』は、彼らの心情に応えられるだろうか。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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