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ベルント・レノ
ベルント・レノの立場が怪しくなってきた。
ブレントフォード、チェルシー、マンチェスター・シティと、レノが先発したアーセナルは散々の出来だった。3戦全敗・9失点。
ところが、定位置を争うアーロン・ラムズデイルが先発したノリッジ戦以降の4試合は3勝1分・1失点。レノが一番手に返り咲く公算が、日に日に小さくなってきた。
GKの場合、二番手はあくまでも控えだ。ゲームプランの変更には影響を及ぼさない。したがって、レノはリーグカップが主戦場となる。注目度の低いコンペティションだ。
プライドが許すだろうか。捲土重来を期し、日々のトレーニングに励んでも、プレミアリーグではつねにラムズデイルが起用される。ドイツ代表のハンジ・フリック監督が「選手の選考基準はクラブレヴェルのパフォーマンス」と語っていることも、レノの焦りを誘発する。
こうした状況を踏まえ、いくつかのメディアが「来年1月に移籍」と報じていた。「ロンドンは最高に快適だが、ミラノも悪くなさそうだ。故郷のシュツットガルトにも近い」という、レノのコメントも掲載されていた。
ミラノ? インテル・ミラノは名手サミル・ハンダノヴィッチを擁している。37歳になって若干の衰えは隠せないものの、依然として世界的GKだ。ACミランにはPK阻止率40%(驚異!)のマイク・メニャンがいる。レノが移籍したとしても、一番手は約束されていない。
カタール・ワールドカップが来年12月に開催されるため、所属クラブでプレー機会に恵まれない選手たちは、来年1月にアクションを起こすだろう。ただ、環境の変化に戸惑い、コンディションを崩すリスクが付きまとう。レノは慎重に判断しなくてはならない。
いや、彼だけではなく、マンチェスター・ユナイテッドではディーン・ヘンダーソンとドニー・ファン・デ・ベーク、マンチェスター・シティではラヒム・スターリング、トッテナムではハリー・ウィンクスが微妙な立場に追い込まれつつある。
なかでもファン・デ・ベークだ。
「エヴァートンへのローン移籍が決定していながら、土壇場で覆された」
「オーレ・グンナー・スールシャール監督との関係に大きな亀裂が入った」
悲観的な話題ばかりだ。ローン移籍を覆したのはスールシャールであり、それでいてファン・デ・ベークにチャンスを与えないため、多くのメディアが両者の関係を疑いはじめている。
怠慢なプレーが続いても出場機会に恵まれたアントニー・マルシャルに比べると、ファン・デ・ベークは不憫にも感じられる。なにしろ出番がまわってこない。ユナイテッドはリーグカップですでに敗れているため、ファン・デ・ベークがピッチに立つ機会はどれほどあるのだろうか。
「ユナイテッドのようなビッグクラブでは、プレーできない選手の方が話題になるものだ」
スールシャールは呆れるほど無関心だが、試合に出なくてはマッチフィットネスが整えられない。ひざとひざを突き合わせ、ファン・デ・ベークと話し合うべきではないだろうか。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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