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5カ月ほど、実戦から遠ざかっていたリカルジーニョは、W杯前の親善試合とW杯の試合を通して、コンディションを上げていった。同時に「これまで両足で加速できていたのが、片足でしか加速できなくなった。今までの自分とは違うし、ベストなプレーはできない。新しいリカルジーニョに、僕自身もフィットしていかなければいけない」と、負傷の影響が甚大であることも認めていた。
リカルジーニョといえば、技術とスピードを武器に相手ゴール前で決定的なプレーをするアタッカーのイメージが強いが、今大会はより低い位置でボールをさばき、味方に点を取らせるチャンスメーカーやバランサーの役割をこなすことが多かった。
アルゼンチン代表
決勝では、いくつかの決定的な働きをした。不本意かもしれないが、最大の仕事は、前半13分、アルゼンチン代表のキーマンであるFPクリスティアン・ボルットの退場を誘発した場面だ。アルゼンチンがリカルジーニョの1対1のスキルを警戒していたことは間違いない。そのなかで、ボルットは故意と捉えられても仕方ない形で、リカルジーニョのボディにパンチを入れた。今大会から採用されたビデオサポート(VS)がなければ、見逃されていたかもしれないボディへの一撃は、審判に確認されて、ボルットは退場となった。
一人多い2分間で点を取れなかったポルトガルだが、アルゼンチンが選手を補充した直後にパニーが先制点を記録。後半にもリカルジーニョのCKから、今大会のトレンドであるボレーシュートを、パニーが決めている。決勝という舞台で、リカルジーニョの周囲において今大会の傾向的な出来事が起こったことにも、あらためてスター性を感じさせる。
この2点をポルトガルは守り切った。リードを広げられた直後、ようやくエンジンがかかったアルゼンチンだが、ボルットが退場していたことは、間違いなくポルトガルに優位に働いた。なにせ、ボルットはW杯4大会目の出場で通算13得点を挙げて、同国のW杯最多得点者だったのだから。
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