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カリドゥ・クリバリ
カリドゥ・クリバリ(ナポリ)の名前が消えた。
移籍市場がオープンするたびに多くのビッグクラブとリンクされてきたにもかかわらず、ここ数年は存在感が薄い。
ハリー・マクガイアの相棒としてマンチェスター・ユナイテッドが狙っているのは、レアル・マドリーのラファエル・ヴァランヌだ。リヴァプールはライプツィヒに所属するイブライマ・コナテとの交渉が順調に進み、チェルシーもバイエルン・ミュンヘンのニクラス・ジューレ、アトレティコ・マドリーのホセ・ヒメネスに秋波を送る。
また、R・マドリーやバイエルン、パリ・サン・ジェルマンの周囲を探っても、クリバリの名前は聞こえてこない。もはや “旬” ではないということか。
クリバリは依然として世界有数のセンターバックだ。しかし、今年30歳になる。ナポリのアウレリオ・デ・ラウレンティス会長は業界一がめつい。ましてコロナ禍。30代のCBに、推定市場価格4500万ユーロ(約58億5000万円)は高すぎる。ラウレンティスが値引きに応じるはずがない。ビッグクラブが手を引く。クリバリはステップアップのタイミングを逸した。負の連鎖だ。
つい先日、クリバリに興味津々と噂されたエヴァートンは、昨年に1億4000万ポンド(約210億円)もの赤字を計上しているため、60億円近い巨額を準備できるとは思えない。
そう、人生はタイミングが左右する。ロナウジーニョが交渉成立間近の段階で翻意したため、ユナイテッドはクリスチャーノ・ロナウドを獲得した。九分九厘、ラツィオ移籍が決定していたダビド・シルバも、土壇場でレアル・ソシエダを選んでいる。
2~3年前、連日のように届くオファーをラウレンティスが吟味し、多くのエージェントが嫌う “上からが過ぎる目線” を慎んでさえいれば、クリバリの人生は変わっていただろう。
リヴァプールに加わり、フィルジル・ファン・ダイクとともに世界最高のCBデュオと謡われていたかもしれない。マンチェスター・シティに移籍していた場合は、ジョゼップ・グアルディオラ監督のもとでレベルアップしていたに違いない。
今年の夏も、似たようなドラマが再演される。R・マドリーではイスコ、久保建英、ブラヒム・ディアス、ガレス・ベイル、ダニ・セバージョス、ルカ・ヨヴィッチを放出し、キリアン・エムバペ(パリSG)の獲得資金に充てるという。
バルセロナは9700万ユーロ(約1260億円!)ともいわれる赤字を解消すべく、アントワーヌ・グリーズマン、ミラレム・ピャニッチ、ウスマンヌ・デンベレ、サミュエル・ウンティティ、フィリッペ・コウチーニョなどを手放す覚悟だ。
あくまでもクラブの事情が最優先された人事だが、クリバリとは異なるケースだが、これをチャンスととらえるべきだ。コロナ禍とはいえ、彼らを必要とするクラブはきっとある。タイミングを逸すると、みずからの選択肢を狭めるだけだ。ブランドにこだわらず、求められる場所へ──。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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