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イルカイ・ギュンドアン
総得点は8シーズン連続で三桁。いやはや、マンチェスター・シティの得点力はすさまじい。得点源のセルヒオ・アグエロが古傷の痛みで戦線離脱を繰り返しているにもかかわらず、そのアタッキング・フットボールで世界中を魅了している。イルカイ・ギュンドアンの覚醒、ジョアン・カンセロの新境地、フィル・フォーデンの急成長も含め、ジョゼップ・グアルディオラ監督は今シーズンもみずからの哲学を貫いている。
また、守備力も超一流だ。プレミアリーグ最少の21失点。GKエデルソンが記録したクリーンシート16回は、もちろんリーグNo.1だ。チャンピオンズリーグでも7試合連続無失点中。11時間31分にわたり、ゴールに鍵をかけつづけている。
その昔のカルチョ・イタリアーノは、守備重視のスタイルで “カテナッチョ”(イタリア語で鍵)といわれた。しかしシティは、超攻撃的なカテナッチョ。まさに難攻不落である。ケビン・デブライネも、「俺たちのキーパーとディフェンスは鉄壁」と語っていた。
さて、シティには四冠の可能性がある。
プレミアリーグは2位マンチェスター・ユナイテッドに14ポイント差。2シーズンぶりの覇権奪還はほぼ間違いない。リーグカップは決勝進出。決勝で相まみえるトッテナムは、グアルディオラ監督の怨敵ジョゼ・モウリーニョ監督が率いる厄介な相手だが、今シーズンのパフォーマンスを踏まえればシティが有利だ。
FAカップ準々決勝はエヴァートンと対戦。直近6試合は全勝と、愛称はすこぶる良い。世界最古のカップ戦にはチェルシー、ユナイテッド、レスターなどの強豪が勝ち残っているとはいえ、シティの優位は動かしようがない。
したがって四冠の最大ハードルは、やはりチャンピオンズリーグだろう。本稿執筆時点でベスト8進出を決めているのは、FCポルト、ドルトムント、レアル・マドリー、パリ・サンジェルマン、リヴァプール。1st.legのアウェーを5-1で快勝したバイエルン・ミュンヘンも準々決勝進出は濃厚であり、もう1チームはチェルシーか、それともアトレティコ・マドリーか。
いずれ劣らぬ強者ばかりだ。さしものシティも、イージーなゲームはないだろう。マドリーやドイツ勢が、どのようにしてグアルディオラ監督のゲームプランをぶっ壊すのか、非常に興味深い。それでも、オレクサンドル・ジンチェンコは「四冠の可能性は十分にある」と、壮大な野望に瞳を輝かせた。
「前例がない。現実的ではない」
グアルディオラ監督はけんもほろろだったが、手綱を締めたにすぎない。試合中の表情から推察すると、現在進行形のチームに手ごたえがある。だからこそ表情が格段に明るくなった。
いま、シティは攻守ともに充実し、対戦相手にレベルの違いを見せつけている。四冠は、彼らにふさわしい目標だ。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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